掴んだキボウ == == == == == 「俺だって馬鹿じゃねぇんだ。 いくら体鍛えたって人間が吸血鬼相手に何もできないなんて……ンなこと本当は…」 「優ちゃん」 しー、と人差し指を口元に持ってくる。 「それ以上言うなよ。 優ちゃんの言葉、子供たちは信じてるんだから…」 吸血鬼は倒せる 俺たちは負けない 「そう繰り返す優ちゃんの言葉に…僕も元気づけられ…て…」 ミカの頬を涙が伝う。 「お…おいミカ。 お前本当に吸血鬼に何され…」 心配してミカに近寄る優。 「なんちゃって〜〜〜」 「……」 舌を出してにっこり笑うミカ。 騙された。 「僕が泣くと思った?思った?」 うそでしたー、と楽し気に笑う。 「……お前いつか殺す」 「……本当に大丈夫だったのか?」 騙されたものの、心配でしょうがない。 「ま、大丈夫じゃないけどねー。けどタダで吸血鬼に血を吸われるような玉じゃないのだよ、このミカエラ様は」 するとごそごそと懐を漁る。 「じゃん」 取り出したのは少しばかり装飾の施された銃。 「?何だそりゃ?」 「武器だよーん。 フェリドの館から色々パクってきちゃいました」 これは優ちゃんにあげる、と渡す。 「…マジかよ……」 人を殺せる武器、流石にその重みを感じたようだ。 「でもこんなのは別に大したことないんだ。 それよりもこれを見てよ」 次に取り出したのは綺麗に丸められた紙。 「これは……?」 「地図でーす。 それもなんと! この吸血鬼世界から人間世界への出口が書かれている地図!」 ((たった一筋、されど眩い希望)) == == == == == == == == == == 「すげーな、コレ。どーやって撃つんだ?」 「わわわ優ちゃん!それルカに向けちゃダメ!」 「ん?あぁそっか、こっから出てくるのか」 「だーかーらー、覗き込むのもダメ!」 「ンだよ、俺にくれるんだろ?」 「そうだけど、使う前に自分や仲間殺しちゃ元も子もないでしょ」 ← | → |