![]() == == == == == 「あ…あの…ひゃ、百夜優一郎君! あの時は吸血鬼から助けてくれて…ありがとうございました」 場所が学校の屋上。 時刻は放課後。 優は学生生活においてありがちな状況にいた。 「あなたが好きです!! 私の気持ち…読んでください!!」 押し付けられた手紙。 優が何がを言う前に女子は走り去っていった。 ーー青春だ。 「いや…俺、全然ンなことしてる暇ねぇんだけど…」 ここに青春を謳歌しない少年がいた。 「(ミカとルカは仲良かったけど、付き合ってたのかな…。 っ、ま…待て、そうなると俺はぼっちか?邪魔者か?)」 と、家族のこととなると少しズレてる少年である。 「やーやー、さすが吸血鬼から学校を救った英雄さん。 モテモテですね〜」 今度はあの子を泣かせるんですか?と問うのはシノア。 クラスメイトにして軍からの監視官。 「今度はって何だよ!」 人聞きの悪いことを言われ不満のご様子。 「まあ童貞ですしね」 「……シノアてめぇ…」 年頃の少女が言うべき言葉ではない。 「でも童貞は"悪"ですよ、優さん」 平然としているシノア。 「なにせ我ら日本帝鬼軍は、カップル成立を日々奨励してるんですから」 そんなの聞いたことがなかった優は呆けている。 「世界は1度滅びました。 それは未知のウイルスのせいで。 突如大地に溢れ出したバケモノたちのせいで。 もう人口は激減です」 町を囲む壁の向こうはバケモノげ溢れる廃墟と荒野。 「この世界はもはや人間には優しくない」 人間を襲うヨハネの四騎士。 人間の生き血を吸う吸血鬼。 そんな存在がいるのだから、当然だ。 「ですから我ら日本帝鬼軍は残った人間を取りまとめ……増殖させて世界の覇権を狙う!」 増殖……何ともリアルな表現だ。 優はどういう表情でいるべきか悩んでいるようだ。 「さあ産むのです、増えるのです。 我ら日本帝鬼軍のために!」 若干棒読みのシノア。 優は彼女の人格を疑うような目で見ている。 それすら気にしていないシノアは中々の精神の持ち主だ。 「ビバ! 不純異性交遊!」 ((何だこいつ……)) == == == == == == == == == == 「なあ、家族の恋って応援するべきか?」 「不純な異性交遊ですか?」 「不純じゃねぇ!」 「そうですねぇ〜、日本帝鬼軍的には…」 「的には…?」 「男1対女2が理想です!」 「誰が三角関係なんぞ望むかッ!!」 | → |