4年前のトウキョウ
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"百夜孤児院"


「クリスマスの今日、また新たな家族が入りました」

雪の降るその日、孤児たちは優一郎という家族を得た。

「皆さん仲良くしてあげてくださいね〜」
「はーい!」

院長先生の言葉に元気よく返事をする1人の少年。

周りの子が近付かない中、笑顔で歩み寄った。




「やあ僕はミカエラ!
君も8歳なんだって?僕やルカと同い年だね」




この孤児院では8歳は最年長だった。

「だから仲良くしたいなあ!」

ミカは優に握手を求めた。
……が、優はプイッと顔を背けてしまう。

………。


ガシッ


「よろしく!!」

一方的にブンブンと握手する。

「なっ、なんだよオメーは!?」

驚いて手を振り払う。


「あれぇ、これは早くもここのリーダーが誰かを決める勝負を挑まれたのかな?リーダーは僕だよ。でも仲良くしてあげる」


はいよろしく、と言うミカに苛立ちを抑えきれない。

「てめ上等じゃねえか!!」

ドタンバタンと暴れる音が響いた。
この孤児院では珍しいことだった。










「ーー大丈夫…?」



床に倒れる優を心配するルカ。

「ケンカはだめですよ、ミカくん」
「ケンカじゃありませーん」

仲良くなってる最中でーす、と笑顔で言う。

そして優に手を差し伸べる。

「あらためまして優ちゃん」

ミカは先程のことなどなかったかのように笑顔だ。




「僕はミカエラ。

君と同じで1人ぼっちだったけど、今はここにいっぱいの家族がいる。ーーそして今日君も」




ミカの背に隠れながらこちらを伺う子供たち。

「……くっだらねぇ、何が家族だ」

吐き捨てるように言った。

「俺は…実の父親に殺されかけてここに来たんだ。母親は…俺のことを悪魔の子だとかわめき散らして最後には自殺しちまった」

わかるか?と問う。

「俺にとっちゃ家族なんて…」

「へぇ〜それは大変だったね〜」

優の言葉を遮り、僕の身の上話もした方がいいかな?、と。


「僕は両親に虐待されたあげく、車から投げ捨てられてここへ保護されましたァ」


「は?」
流石の優も言葉が他に出なかった。

「僕ね!僕ね!親って見たことなーい!!」
「僕お父さんもお母さんも自殺しちゃったー」
「私は孤児院の前に捨てられてたんだって!」

飛び出してきた子供たちが口々に言う。

それも明るい表情で。

「え?ちょっ…」





「でーもー、僕らは寂しくありません。
なぜなら……今日から優兄ちゃんが来てくれたからでーす!」





一斉に優に飛びかかる子供たち。

「やったああああ!!」
「ぎゃあああああっ!」

子供たちの歓声と優の悲鳴が響く。

「……仲良くできそうね」

彼らの様子を見守っていた院長先生は安堵していた。


パタタッ…  ガタン


「え?」
「何だ…」

ミカと優が振り返る。

ドサッ

院長先生は倒れていた。
口や鼻から血を流して。




「せ…先生!!?院長先生!!」



((鳴り響く滅亡の悲鳴))
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「こっちはルカ。僕らと同じ8歳」
「よろしく、優くん」
「ぉ、おう……」
「副リーダーだけど家事全般は出来ないから頼まないでね」
「……やり方は知ってるもん」


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