西の大切なヒト
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「なに熱心に見てたんですか?」

「……西を見てたんだ」

哀愁漂う表情で言う。



「ミカやルカがいるのはきっと西だろ?
吸血鬼の都市は……」



いつも3人で行動した最悪の街。

血を採られ、家畜のように扱われる日々。
それでも、家族と一緒なら幸せだった。

「……俺が捕まってた場所は京都の地下だったと聞いた」


「新宿から京都が見えるなんて優さんは目がいいですねー」

「いや、流石に見えねーけど」

京都が見えたらどんなにいいか。

家族の元気な姿を一目見られたらどんなにいいか。





「俺は必ずあいつらを……家族を取り戻しに行くんだ」





「…家族だから…ですか」

シノアにはちょっと理解し難い問題だった。

その時、優が指さしてきた。

「吸血鬼んとこ殴り込みに行く時はシノア、一緒に頼むな?」

「え〜私も行くんですか?」
「そりゃ〜そうだよ、仲間だろ?」

以前まで仲間なんで要らないと言ってた優が、だ。

「独りでミカとルカ救うの無理だも〜ん」

「だも〜んって」

らしくない優にシノアは笑いを抑えられない。



「だから助けてよ、な?」



手を伸ばしてくる。

「ま…いいですけど、仲間ですし…」

チョイと手を乗せる。
するとギュッと握られた。

「あ……」

「ありがと!よっしそうとなったら吸血鬼の貴族ぶっ飛ばすくらい強くならなきゃな!」

意気込んでいる優を尻目に、シノアはある事に気が付く。





「何だお前ら、お手々繋いで逢い引きか?」





グレンだった。

「おっせーぞグレン。
お前が呼び出したんだろうが」

シノアは慌てて手を離す。

「うるせぇなあ。
軍の会議で昨日は徹夜で……眠い、機嫌悪い」

果てには帰っていいか?とまで言ってくる。



「ざっけんな」



((その姿は見えず…))
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「優さん優さん」
「あ?なんだよ」
「ルカさんは優さんとミカさん、どっちとお付き合いしてるんです?」
「はあ!?付き合ってねぇよ!!」
「あぁ、なるほど。ではミカさんと…」
「ルカとミカが付き合ってるわけ…ねぇ……」
「あはは〜、そうだといいですねぇ〜♪」


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