"百夜"のヤミ
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「何読んでるの?」


「"あの人"が置いてった本」


これも読んでみれば?とフェリドが置いていったのだ。

それは日本語で書かれていた。
優と違い、ルカは日本語が比較的得意だ。

「どれどれ、貸して」

はい、とミカに本を渡す。



ミカは適当にペラペラと捲っていく。

そしてルカがまだ読んでいないところで手を止めた。



「どうしたの?
あ!そこまだ私も読んでないのに!!」

そう言って本を取り返そうとしてくる。

「ぁ、だ…だめだよ!」

思わず大きな声で言ってしまった。

「あ、ゴメン……」















ゴメンねルカ。

でも…こんなの読ませられないよ。


あいつ…絶対意図的にルカに読ませようとしたな…。





ーー"百夜教"


かつてまだ人間が地上で栄華を享受していた時代。

日本帝鬼軍より質の悪い窮境組織だった。

百夜教が運営していた孤児院はすべからく身寄りのない子供を集めて人体実験をしていた。





それってつまり……。

僕や優ちゃん、ルカは呪術実験のモルモットだってってこと。

僕らはその生き残り…。


そして優ちゃんは人間たちの中。
人間たちがまた優ちゃんを利用しようとしてるんだ。

許せない……!

ルカがここにいてくれて助かった。

フェリドのトコっていうのは気に入らないけど。



早く優ちゃんを助けないと…。



((人類最大レベルの禁忌、人体実験))
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「フェリド!」
「あれ?ミカ君。どうかしかした?」
「これはどういうことだ」
「あれぇ、どうして君がその本持ってるんです?」
「お前、意図的にルカに読ませようとしたな」
「あはぁ〜、ルカちゃんだけ真実を知らないのは可哀想でしょ」


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