家族のキズナ == == == == == 「ミカっ…! 良かった…無事で…!」 4年前より広がった身長差。 普段なら悔しかったかもしれない。 でも今はミカが生きていた証が嬉しかった。 「ルカこそ…。 無事でよかった」 ミカもルカも抱き締め返した。 そして立ち話も何なので部屋に入った。 「今まで大丈夫だった?他の吸血鬼の人たちに虐められたりしてない?ミカは優しいから仕返しとかしないもん。フェリドとかミカによく絡んでない?あの人ミカのこと気に入ってたみたいだから。あ!困ったことがあったらちゃんと言ってね?役に立てることは少ないかもしれないけど……私に出来ることは頑張るから!だから1人で抱え込まないでね。私たち家族なんだから一緒に…」 捲し立てるように言われる。 「はは、それじゃ答えられないよ」 困ったように笑うミカにはっとする。 「ご、ゴメン…つい嬉しくて…」 「ううん、ルカが変わってなくて僕も嬉しい」 また喜びが沸き上がってきて抱き着いた。 「で…でも、本当に大丈夫だった…?」 「大丈夫、大丈夫。 僕って天才だから、そこらの吸血鬼より強いよ」 ルカを心配させないようにと言ったが、事実だ。 「知ってる、フェリドが言ってた。クルル…?って強い人に吸血鬼にしてもらったからミカは強いって」 出てきた2人の貴族の名前に反応するミカ。 「ルカ……僕、吸血鬼になっちゃったんだ…」 「そんなの関係ないよ。 ミカは家族だもん。人間でも吸血鬼でも関係ない。 ミカがミカだから……百夜孤児院の家族なの…!!」 一瞬ポカン…としたミカ。 「……なにそれ。 ルカまで優ちゃんみたいに馬鹿なこと言わないでよ…」 言葉とは裏腹に、嬉しそうに目を潤ませている。 「馬鹿でもいいじゃんか…」 「え?」 「こんな世界で正しいこと言ったって意味ないよ…。 だから私は私の思ったことを言う」 もうこの世界は言葉で解決できない。 「だからミカ、……ミカが人間じゃなくて吸血鬼でも、ミカは今までもこれからも私たちの家族だよ!!」 満面の笑みで断言する。 ミカは顔を隠すようにルカを抱き締めた。 「ありがと……ルカ…」 「…どーいたしまして」 ルカは慰めるようにミカの背中を撫でた。 「……ところでさ、ルカ。 何でフェリドのこと名前で呼んでるの?」 少し怒ったように聞く。 「え?……あ、いや…もう止めるよ」 先のフェリドとの会話を思い出す。 「止めてくれるならいいけど。 でもやっぱり何で呼んでたか気になるよ」 ミカに言われて名前で呼び始めた理由を思い返す。 「いつからそんなに仲良くなったの?」 あんな奴と、と酷い言われようだ。 「仲良くなったわけじゃなくて…」 仲良くなったから名前で呼んでいるのではない。 仲良くなるために名前で呼んでいるのだ。 ルカ的には仲良くなりたかったわけではないが。 親しくならなければならないことがある。 ーーん〜じゃあ……もっと仲良くなったら教えてあげる♪ 「……私の過去、知ってるって…。 仲良くなったら教えてくれるって言うから…」 「ルカの過去を!?」 ミカがびっくりしている。 「う…うん、本当かは分からないけど…」 「手掛かりを得るため? 危険すぎる!止めるべきだよ!!」 フェリドはよく分からない。 いつも何か企んでいる、とミカは思っている。 そこで以前フェリドに言われたことを思い出す。 ーー僕は君より先にルカちゃんと出会ってるんだよ? それが本当なら…? 過去を知っているという言葉も嘘ではないかもしれない。 「そ…そうかな…?」 「…大体、本当かも怪しいよ」 フェリドのその言葉も、教えてくれるという過去の話もだ。 「…じゃあ止めた方がいいかな……」 以前は記憶に囚われていなかったルカ。 何があったか知らないが、過去を気にしているようだ。 「……3人で探そうよ。 僕と優ちゃんとルカの家族3人で」 ((それは血よりも強い繋がり)) == == == == == == == == == == 「ミカ大きくなったね」 「そう?ルカはあんまりだね」 「ム……」 「(あれ、気に障っちゃったかな) あ、フェリドがまともなご飯くれなかったんでしょ。 だからするはずだった成長も…」 「フェリドはちゃんとご飯持ってきてくれたもん」 「え!?うそっ!」 「……どうせ私は成長しませんよーだ…」 「ご…ゴメンって!だからフェリドのことなんか名前で呼ばないでよ」 ← | |