待ちに待ったサイカイ
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コンコン

「…?」

ここに住んで初めて聞いたノックの音。
フェリドならそんなことはしない。


「……誰ですか」





「ーー僕だよ、ミカだ」





ルカ、と呼ばれる。

「ーー!!」

慌てて扉の方に駆け寄った。
貧血で真っ直ぐ走れないが、目的地に着く。

キィ…

そこにはちゃんとミカが立っていた。


癖のある金髪。
全てを見透かしてしまいそうな青い瞳。

幼さの抜けた顔と高くなった身長。

「…ミカっ…!」

ルカはミカに抱き着いた。















「よぉ馬鹿優」



体の調子を聞いてくる。

呼び出しを受けて目的地に向かう道すがらグレンに会った。

どうやらグレンの方も傷は癒えたようだ。

「で、そんなに慌ててどこに行く?」
「別に慌ててねぇけど伝令聞こえてねぇの?」

すると鼻で笑われた。

「ご本家様の呼び出しに尻尾振って駆けつけるってわけか」

「あ?何だよその言い方」

らしくない言い方に違和感を覚えた。




「もしかしてお前、軍中枢と仲悪ぃの?」




勘で言ってみる。

グレンはそれに答えず、知ってるか?と質問してきた。

「何を?」

「お前を助けたのは俺だ」

分かり切ったことを言われ話の筋が読めない。


「お前を吸血鬼の都市から助けたのは俺だ。
おまけに生きる方法や剣の使い方も教えてやった」


ボロボロになりながら稽古をつけてもらった日々。

あの稽古のおかげで、優は今ここにいる。

「ってなんなの、お前。
今日はすげぇ恩着せがましいんだけど」

するとその恩を今日返せ、と言ってきた。





「お前は俺が生かした。
俺のものだ、俺の派閥だ。

だから柊家に尻尾を振るな」





やっと本題を口にした。

「ああ、なるほどね、そういう話か」

漸く理解できた。

「つまんねぇの。
人間同士の争いには俺、正直興味が…」


「黙れよガキ」

興味がなくても世界はそうして回ってる、と言う。

確かにその通りだ。

「ンな心配いらねぇんだよ」

だが、それを本人が気にするかは別だ。





「俺はもう絶対に仲間を見捨てたり裏切ったりしないから」





グレンは目を見開いた。

「……ふぅん、だがお前は1つ勘違いしてるぞ。
俺はお前の仲間じゃない」

じゃあ何だというのか。


「上司、命の恩人、親代わり」


呆気からんとした風に言う。

「これだけ揃ったらもうお前にとっては神だな」

「うぜぇ〜」


((ほら敬え))
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「パパって呼んでもいいぞ」
「死ね!」
「はは、よしじゃあ行ってこい」


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