![]() == == == == == 「私は………吸血鬼にはならない…!」 フェリドの手を払う。 指を伝っていた血が飛び、絨毯を汚した。 「ふぅ〜ん、じゃあミカ君はどうでもいいんだ。 可哀想なミカ君、吸血鬼にされて家族にまで見捨てられて…」 「違うっ!」 ルカはフェリドの言葉を否定する。 「ミカを見捨てたわけじゃない!」 「人間であることを選んだのに?」 ルカはフェリドが"人間か吸血鬼か"にこだわっているように感じた。 「いつか分かり合えるはず……! 人間も吸血鬼もちゃんと心があるんだから……!!」 フェリドは視線を鋭くし、ルカの首を掴んだ。 「分かり合える?人間と僕ら吸血鬼が? とんだ夢物語だね」 気管を圧迫され、苦しげなルカ。 首を絞める腕を引っ張ってみびくともしない。 「僕に殺されそうなこの状況でも君は同じことを言えるかい?」 少し力を込めれば、その細い首は容易く折れるだろう。 「家畜と分かり合うなんてありえないよ」 そう言ってルカの手首に噛み付き、吸血する。 ルカは初めて、自分を吸血しているフェリドの顔を見た。 「(どうして…そんな顔するの……?)」 「……ほら、僕らにとって君たちはただの家畜。 これでもまだ分かり合いたいと思う?」 血を吸われ、くらくらする。 ベッドに下ろされると横になってしまう。 「…私、は……諦めない…」 「…なにそれ。 裏切られるのがオチだよ」 フェリドは冷たい目をしていた。 「………仮にルカちゃんがそう考えてるとして、他の人間もそう考えるなんて思ってるの? 人間は分かり合い、話し合いが嫌いな種族だよ。 だから同じ人間で何度も戦争を起こしてきた」 ちょっと夢を見すぎじゃない?と言われてしまう。 ((夢見がちな理想主義者)) == == == == == == == == == == 「理想主義者だなぁ」 「………悪いですか」 「いやぁ〜別にぃ」 「貴方だって夢くらい…」 「え〜、僕は結構現実的だよ〜? それにもう名前で呼んでくれないんだ?」 ← | → |