子供のセイチョウ
== == == == ==


「高位の…貴族……。
……あいつか…」


ギュッと拳を握る。

「その顔、心当たりがあるんですか?」

「あぁ…まぁな」

「で…また憎い吸血鬼を皆殺しにするー!とか?」

優の口調を真似して言う。





「いや、ミカもルカも生きてた。
今はそれだけでいい。

もちろん吸血鬼はきらいだけどな」





以前とはまた違う強い目をしていた。

「んでシノア、お前吸血鬼を人間に戻す方法は…」

首を横に振るシノア。

柊家の人間でも知らない。
つまりは日本帝鬼軍にその情報はないということ。

優がそこまで気付いているかは分からないが。

「そか、そりゃ残念だ」



「…なんか急に大人っぽくなりましたね。
生きる目的が変わったからでしょうか」



「俺は最初っから大人だろうが」

真顔で答える優。

「またまた〜」

いつも通りからかい始めるシノア。

「ったく、いいから本返せ…」

ザッ
壁についている放送器具から音がした。




『呼び出します。

百夜優一郎特殊二等兵。
新宿中央軍官舎一号執務室へ出頭しなさい。

繰り返します。

百夜優一郎特殊二等兵ーーー』





「グレンが呼んでんのか?」

だがシノアが否定する。

「一号執務室はもっと上位の階級の人間しか使えない部屋です」

グレンより上位の人間に会ったことがない優。

「たぶんこの日本帝鬼軍の中枢ーー"柊家"からの呼び出しでしょう。早く行った方が良いですよ」

「"柊家"って確か…」

その単語は優ですら知っている。



「壊滅した日本をとりまとめて復興させたっている、呪術組織の中心だよな」



((少しずつ、それでいて確実に))
== == == == == == == == == ==
「あれ、そういやお前も苗字に"柊"が…」
「あ…ついに気付いちゃいました?そうですそうです、一族の一員です。
とっても偉いんです。さあ敬いなさい、思う存分敬いなさい」
「うわぁ、ちょーうざい」
「ま…冗談はさておき。
私ははじっこでコソコソしたいタイプなので。
中枢には全然出入りしてないんですがー。
でも優さん、柊家の人間は怖い人ばかりなので気を付けてくださいね」


|



TOP