吸血鬼のハンショク
== == == == ==

「そんなに本を広げてどうしたんです?」

ルカちゃんに与えた部屋に行ってみたら、本を何冊も広げていたので覗いてみた。




ーー人間の吸血鬼化




あは、面白そうな本を読んでますねぇ。

「……読めないから調べてたんです…」

読めない言語の本をねぇ…。
わざわざ調べてまで読むなんて。


「ところでどうして敬語なんです?」

それは止めさせたはず。

僕が持っている記憶の手掛かりを得るため、……まあ、表面上だけでも僕と親しくなるためだけど。

それでも最近は自然になってきたと思ってたんだけど。


「……別に、…」

「そう?
あ、その本の内容、教えてあげようか」

「!お、お願い…します……」

あは、困った顔でお願いされるのもいいねぇ。







「まず、人間の吸血鬼化は滅多に起こらないんだ。
僕ら、人間と違って増えるの嫌いだから。


そして"人間を吸血鬼に変える権限"を与えられているのは僕やクローリー君みたいに貴族の吸血鬼だけ」







「……つまり…ミカは」

「あはぁ〜、やっぱりミカ君のこと気にしてたんですねぇ」

まぁ何となく予想してましたが。

でも今まで調べてなかったのが意外だなぁ。
優ちゃんも向こうで調べてそうですねぇ。

「っ、」

「ミカ君はクルルに選ばれたんですよ」

あ、今なんか安心したよね。
僕じゃなかったからかな。

ひどいなぁ〜、僕もミカ君お気に入りなのに。

僕が吸血鬼にしてあげてもよかったくらい。







「吸血鬼の強さは生きた年数と主の能力が色濃く反映される。

クルルは第三位始祖だからあの強さも頷けるよ」







吸血鬼になってまだ4年。

それでも他の吸血鬼に比べたら相当強いからね。

「あぁ、因みに僕は第七位始祖だよ♪」
「……それが何か…?」


「ルカちゃんも僕の血飲んで吸血鬼になる?」


いいねぇ、その驚いた顔。

「吸血鬼になったらミカ君に近付けるかもしれないよ?」

ま、ミカ君は怒ると思うけど。

人間は心の繋がりを大切にするでしょ?
だったら理解し合える立場になりたいよね?



「ほら……これを飲めばミカ君と同じになれる」



((指先を伝う呪い))
== == == == == == == == == ==
「第七位……」
「あれ?どうかしましたぁ?」
「いや……ミカが弱くならなくて良かったな、と」
「あは、ひどいなぁ。
僕もそこまで弱くないんだけど」


|



TOP