決戦の地ナゴヤ
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京都



2人の吸血鬼…ラスクとレーネの前にはミカがいた。

「あ、お前にも指令が出たのか?」

彼らは都市防衛隊。
命令が出れば動かなければならない。

「関東の人間を殲滅すべく本体を名古屋に移動させるってさ」





ーーそしてその日の昼

ーー名古屋決戦の指令が下った















「ルカ〜♪」



ドアからヒョコッと顔を出したフェリド。

「おや?また…」

ルカはそこにいなかった。

フェリドは中庭に向かう。
以前もルカがいた所だ。





♪〜 ♪〜〜 ♪〜


ヴァイオリンの音が聞こえる。

悲しい旋律ではあるが、暗いわけではない。



弾き終えたのか、ルカがこちらを見る。

「やぁ〜、いい音色でしたよ」

パチパチと拍手をしながら近付く。

「ヴァイオリンなんて弾けたんだ。
本当に孤児院の出?」

楽譜も見てないし、と言う。

「…弾いたことないけど、何となく手が動いたから」

フェリドがわざとらしく驚いて賞賛する。

「でもこれだけじゃ音楽にはならないよ…。
1人で奏でるだけじゃ……」

ルカはヴァイオリンを近くのベンチに置く。





最近のルカは人が変わったようだ。

勉強もそこそこにこうして音楽を楽しんでいる。
フェリドの遊びにも付き合わず絵を描いてみたり。

何より纏う雰囲気が冷たくなったというか……静かになった。





「そうそう、ルカに頼みたいことがあったんだ」

不思議そうに首を傾げるルカ。

「クローリー君がいる名古屋に行って欲しいんだ」
「クローリー…?名古屋…?」

記憶の中から"クローリー"を探す。


「……あぁ、フェリドの派閥の…」


上位始祖でもないフェリドについている変わった吸血鬼。

聞いた階級より強いとか何とか…。

「そうそう。で、彼のところでお手伝いしてきて」
「手伝い…って、私人間だし…」

吸血鬼側にいるがれっきとした人間だ。


「ん〜、じゃあ見てるだけでいいから行ってきてよ」



((吸血鬼部隊と人間1人の旅路))
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「本当は僕が直接紹介してあげたいんだけど…」
「長くなりそうだから自分でする」
「え〜、何言うの?」
「名前と"人間です"って挨拶するの」
「だめだめ。もっと詳しくさ〜」
「あ〜はいはい、行ってきます」
「ほんと最近冷たいな〜。
あ、都市防衛隊に紛れて行ってね〜」


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