違ったフンイキ
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「……ん」

むく…と起き上がる。

そこはフェリドに与えられた部屋だった。


「…フェリド……?」


部屋の人影が見えた。

「ん、あぁ……起きた?」

こちらに歩いてくる。
すると先程よりはっきり見えてくる。




「よくこんな暗闇で僕を見つけられたね」




カーテンは閉められており、月の光は入り込めない。
そしてもちろん部屋の照明もついていない。

自分でも不思議に思った。

どうして、と考えていると心細くなってきた。


「フェリド……」

闇の中でもよく見える赤い瞳に手を伸ばす。

「ん〜?今日は随分甘えただね」

どうしました?と言いながらもその手に応えてくれる。

そして優しく抱き締められる。
優やミカの顔が浮かんだが、その背に手を回した。





「(今は……こっちの方が…安心する……)」





解いていたらしいフェリドの髪が落ちてくる。
銀色のそれは首筋や頬をくすぐってくる。

「……ルカちゃん、いい匂い」

すんすんと匂いを嗅がれる。

フェリドの頭が首元に埋められる。

噛まれると思い、身構える。

「………?」

だが一向に痛みは訪れなかった。

そして痛みが訪れるより先に、フェリドが身を離した。



「…さてと、僕はこの後用事があるから行くよ」
「用…事…?」

少し曲がったリボンを整えて扉に歩いて行ってしまう。

「ちゃんと寝てよ〜?
明日くらいにミカ君が会いに来るから」

ミカ…?と復唱する。

そこで1番最近のミカの記憶を思い出す。

「ミカ…優くんと……」

一緒にいるのを一瞬だけ見た。
何故かそれ以降のことは覚えていない。




「いい子にしててね〜ルカちゃん♪」




((誰か別人のようで…))
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「かわいかったなぁ、ルカちゃん♪
たまぁ〜にああいうトコ見せてくれるからなぁ。
でも……あの暗闇で僕を見つけられたってことは…。
……そろそろかな」


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