女王のモクテキ == == == == == 「人間どもは……いや、僕等がいた百夜孤児院は僕やルカ、優ちゃんをモルモットにして研究していた…そう君は言った」 世界を壊すひどい研究から救ったのだと。 だが上位始祖会の話ではどうも違うようだ。 「ほんとは君は僕らを殺さなきゃいけなかったんじゃないか?」 なのに生かした。 自らを危険に晒してまで。 「僕らでいった……君は何をしようとしている?」 「それ、あなたの知る必要のないことよ」 「ふざけるな!!」 ミカが珍しく声を荒らげた。 「もしも君がルカや優ちゃんを利用しようとしてるなら…!」 「…ならどうする?」 クルルはミカの手を掴み、力を入れる。 「あなたに私をどうにかできる?」 とてつもない力……手が潰れそうなほどだ。 「貴方の命なんて消すのは簡単」 その言葉に偽りはない。 ミカはすでに膝をついてしまっている。 「おまけにあなたは私の血で飼われている」 人間の血を飲まず、クルルの血も飲まないなんてできない。 「もしくは利用されるくらいなら死んでやる?」 守るべきものがなければ容易に選択してしまうだろう。 「でもそしたら醜い人間どもに利用されてる優はどうする?見捨てるの?ルカは?あの男の下で無事に暮らしていけると思う?」 クルルは手の力を緩める。 爪が刺さっていたらしく、ミカの手からは血が流れている。 「人間どもがやることはほんとひどいわよ」 "終わりのセラフ"研究も含めて。 「あなたに優やルカを見捨てられるかしら?」 「…だが君も同じようにひどいならもうついていけない」 「もぉわがままばっかり」 少し呆れたように言って、再び手に力を込める。 「私はそれほどひどくない。 だってあなたたちが好きだもの」 「そんなの信じられ……」 「信じなさい」 クルルがいなければ孤児院でとっくに殺されていた。 「私が命の恩人、親代わり、飼い主よ」 8年前からクルルは3人の命の恩人なのだ。 「…いいわ、私があなたたちを生かした理由教えてあげる。私になぜ"終わりのセラフ"が必要なのか」 ミカの耳元に口を寄せる。 「 」 ミカの目が驚きに見開かれる。 「…君はそれを本気で言ってるのか…?」 「さーてー、わがままな息子のメンテナンスが終わったところで、上位始祖会に命令されたから態度を示さないとねぇ」 クルルは立ち上がる。 上位始祖会で述べた通り、皆殺しに…。 「吸血鬼VS人間の大戦争を始めます」 ((誰も知らないもう一つの顔)) == == == == == == == == == == 「ルカについてはノータッチだけど」 「え…?」 「ルカは被検体でもなさそうだし」 「じゃあどうして……」 「あの子に関しては私じゃなくて、」 「まさかフェリド…なんて言わないよね」 「そのまさか、ルカの命の恩人は8年前からあの男よ」 ← | → |