知らなかったショウタイ == == == == == ポン ミカの肩に手が置かれる。 「撤退するよー」 振り返ればフェリドがいた。 「放せ! 僕は、僕は優ちゃんを助ける…ん……」 あるものを見つけ、言葉が続かない。 「ーールカ!!?」 少し離れたところに立っているルカ。 何か気を引くものがあるのか、こちらを見ない。 服装は何度も見た例のフードの少女。 「(ルカだったのか…!)」 フェリドを睨み付ければ素知らぬ顔で笑っている。 「ルカ!僕だ!ミカエラだ!!」 すると漸くミカの方を見る。 「あれ、……」 ルカは微かに目を見開いた。 「…ミカ……に、……優…くん…? っ、痛……」 「ん〜?」 フェリドが振り返る。 「あらら、だめじゃないミカ君。 ルカちゃんを刺激しちゃ」 頭を抱えてうずくまるルカ。 「お前っルカに何をした!?」 フェリドの胸倉を掴む。 「ひどいなぁ、何もしてませんよ」 「くっ…(ルカの居場所は分かった、だから…) 僕は、僕は優ちゃんを助ける!!」 だがフェリドがミカを止める。 「気持ちはわかるけど今はムリムリ。ほら見てよ。人間どもの欲望があんなにも醜く優ちゃんに絡みついてる」 倒れた優を支えているシノア。 同じチームのメンバーも集まっている。 「……くそ。 くそ……人間どもが…!!」 歯を食いしばるミカ。 「あはぁ、どう? そろそろ人間が嫌いになってきたでしょう?」 ミカの様子を笑いながら見る。 「人間が嫌い。でも吸血鬼も嫌い。 じゃあ一体君は何になるのかなぁ〜〜?」 とても楽しみだ、と言うフェリド。 「じゃ、帰ろうか」 腕を引くが、ミカは抵抗する。 「放せ…!!」 ガッ フェリドがミカの首を掴んだ。 「!!」 「はいうるさーい。 もう十分はしゃいだだろ、黙れよガキ」 低くなった声音と変わった口調。 今まで見たことのないフェリド。 「ゆ……優ちゃん…」 ミカから力が抜ける。 どうやら今回は諦めたようだ。 「じゃ戻ろうか、ルカちゃんも辛そうだし」 フェリドはミカを下ろすとルカを抱き上げた。 「僕はルカちゃん運ぶから、ちゃんとついて来てね〜」 ((とても近くにいた家族)) == == == == == == == == == == 「だから近くにいるって言ったでしょ〜?」 「黙れ……隠していたくせに」 「何度も会わせてあげたじゃないですかぁ」 「……気付かなかった僕を笑ってたんだろ」 「あはぁ、まあ面白かったですね」 ← | → |