吸血を拒むワケ == == == == == 8年後ーー世界が破滅した現在 京都地下 吸血鬼の地下都市サングィネム 「……血…」 ポンッ 背中を叩かれ振り返ればフェリドがいた。 「吸いたいんでしょう? いい加減吸ったらどう?」 普段であればすぐに拒否するミカ。 今日は何も言わない。 「人間の血を吸わないからまだ君、体が成長してるでしょう? でも今ぐらいがぎりぎり1番美しいと思うんだよね」 だからここで、と近くを走っていた子供の首根っこを掴む。 「人間の血を吸って成長を止めなよ」 フェリドの爪が首に刺さり、血が滲み出す。 それを飲めばとても楽になる。 「ぐ……ぅ……」 ごくんっと喉が鳴る。 ガッ 「…子供を放せよ」 大切な家族の顔を思い出し、何とか踏み止まった。 ミカは、子供の首を掴むフェリドの手を掴んだ。 「直接人間の血を吸うのは吸血鬼の法に反するはずだ」 「あは、まじめぶっちゃって〜」 いいけどね、と子供を落とす。 2人の吸血鬼を恐れ、子供は逃げて行った。 ーーミカ!!俺達で吸血鬼を全部ぶっ飛ばそうぜ!! 「でも人間の血を吸わないのはなぜかな〜。ま〜さか、吸わなければいつか人間に戻れるとか思っちゃってる?」 楽し気に言うフェリドに、ミカは拳をきつく握る。 「…消えろ、フェリド・バートリー」 「それとも、人間の血を吸ったら、愛しい愛しい優ちゃんやルカに嫌われちゃうとか思ってるのかなー?」 ミカはその場から逃げ出した。 フェリドの言葉を否定する術がなかった。 自分に残されているのは2人の家族だけ。 人間の血を吸えば、人間である2人を裏切ることになる。 …そんな気がしたから。 「はっはっ…くそ。 血を……早くクルルの血を飲まないと………」 ((家族のために)) == == == == == == == == == == 「ミカを虐めないでよ…」 「えー?僕は心配して言ってあげてるのにぃ?」 「言い方が悪い」 「じゃあルカが言ってあげたらいいじゃない」 「……言えるわけないでしょ」 ← | → |