目覚めたバケモノ
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「……あれ、なんだこれ」



真っ白な世界にいた。

目の前には阿修羅丸がいる。
器用にも地面に刺した刀の上に立っている。

「おい阿修羅丸」

「んー?ああ優、何?」

居たの、と言いたげな声。


「こりゃいったいなんだ?
お前、俺を乗っ取ろうとしてるのか?」

だが阿修羅丸は違うと言う。

「僕は何もしてない。でも困ったなぁ、これ」

真っ白だと思っていた世界に空が見えた。





「まさか鬼である僕が、取り憑いた人間のバケモノっぷりに怯えることになるとはね」





「なんだよそれ」

わけが分からなくて聞いてみる。

すると阿修羅丸は空を見るように言う。

「世界を呪うように真っ黒に染まって……」

優が今まで見たどの空とも違う。


「ねぇ優、ミカの言う通りだ。
まだ間に合うなら、2人で人間から逃げた方がいい」


じゃないと優はもう人じゃいられなくなるのだと言う。

「こだわるなって言ったけど、彼女も一緒の方が…」

言葉が途切れたのでどうしたのか聞いてみる。

「あ…だめだ、手遅れみたい……」

真っ黒な雲に覆われた空から一筋の光が差す。





「君の人間じゃない部分の暴走が始まる」










「あ"あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」





優の背中から黒い何かが飛び出す。

それは歪な羽のような形を成す。


「……始まった」
それを見たグレンは首を掴まれたまま呟いた。


「うおおおおおおおおお!!」

優の絶叫を聞き、ミカが顔を青くする。

「や…やっぱり人間どもは優ちゃんを…!!」

近付こうとした時、優が刀を振るった。

「……!!」

ドッと一瞬で周りの建物が瓦礫と化す。
ミカも踏ん張ることでなんとか飛ばされずに済んだ。





「…なんだ?
ちょっとまずそうなのが出てき……」




優の異変に気付いたクローリー。

その時、すでに刀を振ろうとしていた。

「ー!」

ドッ
先程より大きな剣圧で大地が抉れる。


「!……え?」

クローリーがいなくなり、意識を取り戻したシノア。

すぐそばにはクレーターのように抉れた地面。
それに愕然としながら、ある人物を見た。



((味方などいない))
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ドッ
「ん〜?」
「……何アレ」
「見に行っちゃだめだよ?」
「くろーりー君は…?」
「あれ、クローリー君は分かるだ」


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