吸血鬼ソロウ == == == == == 「うわ〜、なにあのかわいい態度」 ミカががこだわるわけだ。 「じゃあやるよ。 優ちゃん以外の人間を皆殺しにしようかぁ」 フェリドはすらりと剣を抜く。 「!」 その背後のある人物が現れる。 「私をお呼びと聞きましたが……第七位始祖様」 「ああ、クローリー君かぁ。 待ってたよ〜」 あの赤髪の吸血鬼だった。 「でも残念、あの子なら探す手間も省けたのに…」 「あの子……?」 「後で紹介してあげるよ。 でも、君たちがいたらもうゲームセットだねぇー」 殺す必要はないと言う。 そして剣を納めてしまう。 「よし、家畜にしよう。 吸血鬼殲滅部隊家畜化計画〜」 それにクローリーも賛成する。 「みんなであいつらの生き血を吸うよ〜」 グレンは2人の姿を見て舌打ちをする。 「また貴族が増えやがった」 頭をつぶすのに時間が掛かりすぎた。 …いや、それだけの時間を費やしても潰せなかった。 「新宿は捨てる、総員離脱態勢!!」 優はミカがいるため、待つように頼む。 だが、多くの部下の命を預かるグレンは揺らがない。 「撤退だ!! 陣形を保ったまま新宿城壁内へ後退…!!」 仲間にも促され、渋々あきらめる優。 そして後退しようとした先に……。 「ーー!!」 「逃がさないよ〜ん」 いつの間に回り込んだのか、フェリドが立っていた。 「くっ…」 次の瞬間、優の背後に回り込む。 「う…!!おお!!!」 刀を抜き、思い切り切り付ける。 だが、後ろに飛ばれ簡単に避けられる。 「速〜い、けどまだ若〜い」 グレンも加勢するが、吸血鬼のスピードに追い付けない。 「そしてライオンも、手負いじゃ剣線が鈍るねぇ」 またしても背後に現れる。 蹴りを食らい吹き飛ぶグレン。 「グレン!!」 フェリドは優を見て笑う。 ポンッ 「まずは君から味見…」 ドンッ 優の肩に置いたフェリドの腕が飛ぶ。 ボタボタと血が落ちる。 「あは、かわいい冗談じゃないかミカちゃん。 そんなに怒るなよ〜」 腕を切り落としたのはミカだった。 フェリドは落ちてくる腕を掴み、接合する。 「ミカ……」 「優ちゃん」 フェリドが離れ、ミカは優に近付いた。 「全部捨てて僕と逃げよう!!」 ((人間たちもこの世界も捨てて、2人だけで…)) == == == == == == == == == == 「へ?いや、逃げるって…」 「いいから!」 「わっ」 「行くよ優ちゃん」 「ちょっと待て!ふざけんなミカ!! いったいどういうことだよ!! ってか何でお姫様抱っこ何だよ!?」 「…いや、正確には王子様抱っこかな」 ← | → |