不完全なチカラ
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「どうです?人間のまま吸血鬼の力を使えるって」



……"人間のまま"…。

私はまだ人間なんだ…。
ならどうして吸血鬼の力を使える?

人間であることの概念ってなに?吸血鬼は?

ただ1つ分かるのは、居場所が分からないということ。

人間でも吸血鬼でもない。


…優くんやミカを守るため。
いつまでも弱いままではいられない。

使えるものは使わないと。

人間らしい考え方かな…。




「……どうして勝てない…?」




フェリドの言葉が正しいなら私は吸血鬼の力を使える。

なのに全く歯が立たない。

私が弱いから?
フェリドが強いから?

きっと両方。

呪いを受け入れてもまだ足りない。





「ルカが孤独じゃないから」





……どういうこと?

「守るものがない方が強くいられる。
少なくともルカはね」

「守るものもないのに力があったって…」

意味がない。

自分のためだけに使われる力ほど虚しいものはない。



「まぁ、これからも仲良くしようよ、ルカ」



どこに終着点を見出したのか…。

何になってもフェリドはよく分からない。

「って、名前…」
「あ、今さら?」

この間まで"ちゃん"付けだったのに。

「嫌?」
「…嫌じゃ、ないけど…」

急に変えられると気になる。

「ほらほら、僕のことは〜?」

…は?名前呼べってこと?





「フェリ、ド……?」





「あはぁ〜、名前で呼ぶとミカ君に怒られますよ〜?」

ぁ、…。

って、なんでそれ知ってるわけ?

「僕としては歓迎だけど♪」

何でか分からないけど呼びやすい。



「……名前言わずに話せないし呼びやすいから」



後でちゃんとミカに説明しないと。

「あは、じゃあ毎日話題を持ってくるとしましょう♪」

…それはそれで面倒かも…。


((カラダに馴染み始めるまで、あと…))
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「ん〜、味が濃くなったかな〜?」
「は…?」
「今日もルカの血は絶品だなぁってこと」
「……フェリドは相変わらずだね…」
「ん?」
「ぁ、いや…」


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