![]() == == == == == 暗闇の中、周りがよく見える。 あの時と同じだ。 闇の中でフェリドを見つけた時と同じ。 だが今回は不思議には思わない。 理由が分かっているから。 「目が合ったのに見て見ぬフリ?」 ……折角無視しようとしていたのに。 ルカはそちらに目を向ける。 「やぁ、調子はどうです?」 「嫌味なくらい綺麗な顔が見えて気分が悪い」 するといつものように楽し気に笑う。 「あはぁ〜、もっと近くで見てみる?」 そう言って近づいてくる。 プツ… 指先を血が伝う。 それは次第に形を成し、硬度を持つ。 「おや?」 後ろに回していた手をフェリドが見ようとする。 認識される前に、と小さなそれを振り上げる。 ヒュッ キィン 「急に斬りかかるなんてひどいなぁ〜」 真っ赤なナイフを受けるフェリドの剣。 「、……」 押しても全く効いていない。 フェリドは余裕の笑みを浮かべている。 ルカは諦めて力を抜いた。 「こんな物騒な物は没収〜」 手首を掴まれたと思えばナイフを取られる。 今はフェリの手の中で遊ばれている。 「んん〜?この匂い…」 ナイフを鼻先に持っていく。 「血で、ねぇ……。 それは思い出したのか……意外だね」 次第に硬度を失い、形が崩れ始めるナイフ。 「斬られると僕の血と混ざる感じで好きだけど、やっぱり普通に飲むのもいいねぇ」 手のひらの中で血液に戻ったそれ。 ルカの非難の視線を受けながらも、それを飲んでしまう。 「刺々しい味がする……怒ってた?」 ((飛躍的に向上した力)) == == == == == == == == == == 「今は怒ってる」 「え〜、どうして?」 「勝手に飲むから」 「ご馳走を前に我慢なんてできないよ」 「忍耐力ないね」 ← | → |