![]() == == == == == 「しかし…それでもおそらく……」 「死者が出る」 シノアが濁した言葉を三葉が口にする。 「だがそれが戦場だ。 わかっててお前ら来たんだろう?」 みんな覚悟の決まった目をしている。 「なるほど、そういう展開か」 優だけは不敵な笑みを浮かべていた。 「だが絶対誰も殺させねぇぞ…。 そのために俺は力を手に入れたんだから」 なあ阿朱羅丸、と言えば刀から力が溢れてくる。 「クローリー様ぁ。 こんなところで何やってるんですかぁ」 「前線で第七位始祖様が及びです、クローリー様」 敬称をつける辺り、赤髪の男のほうが格上のようだ。 「んー?フェリド君が私を?」 誰を指そう…第七位始祖とはフェリドのことだった。 「それはいかないとまずいねぇ。 ここもちょっとおもしろくなってきたんだけどなぁ」 刀を構える優を見て笑いを溢す。 「ま、それは次の機会でいいか」 切り落とされた腕を拾う。 「今回は見逃してあげるよ。 でも次は君の血を吸わせてもらうからね〜」 ああ!?とつっかかる優。 その肩を誰かに叩かれる。 「じゃあねぇ、かわいい家畜君たち」 クローリーだった。 3人は崩れかけの建物を駆けあがり、どこかに消えた。 「あの野郎…ふざっけんな!! 余裕顔で馬鹿にしやがって……!!」 優は随分ご立腹のようだ。 「鬼呪装備使ってもこんなに力の差があんのかよ…?」 シノアは使い方を覚えれば少しは実力差が埋まると言う。 「なら早く教えろよ!!」 「貴方1人が吸血鬼と互角になったところでどうなりますか?」 その間にシノアたちは殺されてしまう。 だからチームワークがいる。 「今回はいい勉強になりました」 死者が出なかったという幸運にも恵まれた。 それに優が自分から撤退を提案してくれた。 「何より……命を助けてくれてありがとう。 貴方はグレン中佐が言った通り仲間想いですね」 ((生きていれば勝てる)) == == == == == == == == == == 「なんかもう渋谷に帰りたいなぁ」 「同感だがそういうわけにはいかないだろ。 新宿が落ちたら次は渋谷だ」 「渋谷にはお前の妹もいるしな」 「なら行くぞ、新宿を守るんだ」 ← | → |