踏み出したアシ
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「優、君月。
人喰いの鬼が出た、お前ら2人で始末しろ」










「やれよ」

優は刀を後方に投げた。

一方、鬼と化した与一は弓を構えている。





「俺は仲間は殺せない。
そして与一も……お前も俺を殺せない!」





「ははは」

鬼の角を生やした与一が笑う。

「お前が俺といっしょなら……目の前で家族を喪ったんなら、仲間を殺せるわけないんだ!!だから早く目を覚ませよ!!」

馬鹿与一!!と叫ぶ。


「んなっ、馬鹿かお前!」

共に戦っていた君月も武器を構える。

「くうっ」

シノアもこの危うい事態に鬼呪装備を展開する。

「じゃあ死ね」

与一は迷わず優に照準を定める。





「おい与一!!

てめぇはまたベッドの下で家族が死ぬのを見てるつもりか!!
いいからさっさと出てきて仲間を守れ!!」





グレンの言葉に与一の手が震える。

「(ぼ…僕は……本当はもう逃げたくないんだ)」

姉が吸血鬼に殺されるのを見たベッドの下。

何も出来ずに動けなかった自分。

「(だから、だから僕に、大切な人を守れるだけの力を…敵をすべて壊せるだけの力を……!)」

かつて出て行けなかったそこへ、与一は踏み出した。



与一の放った矢は逸れ、優は無事。

「う…うわあああああああああああ!!」

優に駆け寄るとそのまま抱き着いた。

「うそっ…」
「も、戻ったのか!?」

シノアや君月も驚いている。

「よっしゃ、よく戻った」

優だけが、当然とばかりに与一の頭を撫でている。

グレンに気付く与一。
気付いたら足が自分に向かって上がっている。





「戻んのが遅ええええええ!!」

ドカッ




((仲間を信じたからこそ))
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「まさか中佐はこうなるとわかってて…」
「黙れ、俺は別にガキが死のうがどうでもいい派だ」
「その割には最後ちょっと焦ってたように見えましたけど」
「死ね」
「あはは」
「いいから死ね」


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