![]() == == == == == 「そうだレイシー、今から式を挙げよう。 ずっと先延ばしにしていたから怒っているんだろう? なら今日、これから婚姻の義を執り行おう」 「………………はあ。 分かりました、私の負けです。 シュナイゼル様の好きなようになさってください」 レイシーが遂に折れた。 2人がコーネリアの屋敷に転がり込んでから5日目のことである。 つまりシュナイゼルが職を放棄して5日。 流石に超合衆国の方にも影響が出始めたためである。 この無計画な外堀の埋め方により、大勢の人が迷惑を被ったことだろう。 2日目辺りで既に早く仲直りしてくれと思っていたコーネリアやカノンたちは安堵の息をついた。 「それではいけないよレイシー」 疲れきった表情のレイシーにグッと顔を寄せる。 「婚姻というのは夫婦の合意によってなされるのだから、私が勝手に決めるものではないよ。さあ、一緒に式の場所やドレスを選ぼう」 立ち上がったシュナイゼル。 だが一方のレイシーはフラフラである。 「いえ、少し休ませて……」 言い終えぬままシュナイゼルの腕の中で眠りにつく。 「そうか、ではまた明日にしよう」 そこで漸くコーネリアたちを見る。 「ここだと迷惑になるから帰ろうか、私たちの屋敷に」 今さらな言葉である。 そうしてシュナイゼルは待機したままの車に乗り込み、この5日間の疲れなど全く見せずに帰っていった。 その嬉しそうな表情といったら…。 「ふ、」 「コーネリア様?」 「世界が変わって、漸く兄上も本当の幸せに気付かれたのかと思うと嬉しくてな」 == == == == == == == == == == 「これで漸く仕事に戻ってくださるかしら?」 「……逆にレイシー様から離れなくならないといいのですが…」 「うむ……その時はレイシーに説得してもらうしかあるまい」 ← | |