![]() == == == == == アヴァロンに戻ったシュナイゼル。 その膝に座らせた悠の目は覆ったままに問い掛けた。 「昔、枢木君と何かあったのかい?」 カッとしたように手を握り締める様子に、図星かと息を吐く。 「無理に言わなくていい。 辛い過去なら忘れてしまいなさい」 涙を耐えようと充血した緑色の瞳を覗き込む。 「さあ私を見て、私の事だけを考えてごらん」 手から力が抜け、涙が流れ落ちる。 「そう、楽になって。 私が側に居るよ」 次第に瞼が閉じ、微かな寝息をたて始める。 シュナイゼルは満足そうに悠の柔らかな髪を撫で、寝室に寝かせた。 スザクと再会させて以降、情緒不安定な状態が続いた悠だが、自身の存在を上塗りすることで落ち着いていった。 「君も日本人に戻りたいかい?悠」 ユフィの宣言により進む行政特区日本。 そのニュースを見せながら問う。 ソファに小さく丸まっているレイシーは小さく首を振った。 シュナイゼルは優しく微笑んでその頬を撫でた。 「いい子だね悠。そう、君が日本人に戻ってしまうと私も側にいるのは難しくなってしまうからね」 深く自身の存在を刷り込んだことで、枢木スザクという存在への反応も薄れてきた。 「君に必要なのは私だけだよ」 == == == == == == == == == == 「スザクが出来ればもう一度会いたいと…」 「うーん、それが悠も体調が優れないようでね」 「……お兄様、悠さんには普通の生活を送らせてあげているんですよね」 「当然じゃないかユフィ、私にとっても大切な子だよ?」 「それならいいのですけど……」 ← | → |