罪の意識
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「スザクは妹さんが……いるのよね?」

自らを騎士としてくれた主の問いに一瞬戸惑った。




「…はい。

でも昔喧嘩別れしてしまって、それ以降は……。
元気でいてくれると嬉しいのですが」




父を殺してしまった時、妹はすぐそこにいた。

ひどく怯えた顔をしていた。

ルルーシュたちとは再会したが、悠はその生死もわからないまま。

だが、会うのが怖いと言う思いもあった。



「スザク、落ち着いて聞いて欲しいの。
実はね、ーー……」




















神根島で救出されたスザクは目を見張った。

ユフィが駆け寄るシュナイゼルのその後ろに、10年近く昔に生き別れた妹がいた。



「本当に……」



8年前にシュナイゼルに保護されブリタニア本国にいると、ユフィに聞かされても信じられなかった。

「あぁ…」

スザクの様子に気付いたシュナイゼル。

「おいで悠」

呼び寄せると、スザクに厳しい視線を向けている悠を落ち着けるように肩に手を置く。





「普段は滅多に外には出さないのだけど、ユフィがどうしても会って欲しいと言うからね、連れて来たんだよ」





スザクは狼狽えた。

何と言えばいいのか分からない。

取り計らってくれた2人の皇族に感謝する?
久しぶりに会った妹の無事を喜ぶ?


「(俺は父さんを殺してしまったのに…?)」


どんな父親だったとしても、たった一人の父を妹から奪ってしまった。目の前で。

「ぁ……その……」

ユフィが不思議そうにこちらを見ている。




「っ!」


突然スザクに手を伸ばす悠。
その表情は怒りに満ちていた。




「おっと…」

だが悠はシュナイゼルに抱き寄せられ、目元を隠される。

「すまない。彼女はこの通り不安定でね、落ち着いたらまた会ってあげてほしい」

乱れた息を吐く悠の耳元に顔を寄せる。


「さあ戻ろう、悠」

シュナイゼルに手を引かれ、先にアヴァロンに戻っていく。










「ぇ、」

その様子を何とも言えない表情で見送っていたスザクだが、わずかに覗いた悠の手首に目を見開いた。




ひきつった皮膚。

巻かれた包帯には赤い血が滲んでいる。




「(どういう、ことだ)」

保護されていると聞いた。
シュナイゼルに手を引かれて歩く悠。

「(何か酷いことを……いや、でもそんな…)」




「枢木スザク准尉、第二級軍規違反で逮捕します」

そんな声すら今は耳に届かなかった。


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「ゆ、ユフィ、悠はブリタニアでどんな生活を…?」
「え?あぁ、心配しなくてもお兄様は優しいから、普通の生活を送っていたはずよ」
「でも…(いや、聞けるわけがない。酷いことをしていたんじゃないか、なんて)」
「それよりもどうして話さなかったの?折角会えたのに」


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