運命の出会い - 4/9
side. S
「あのー…。どうか、されました?」
「!!」
どうかした、じゃない。こんな時間にこんなとこで何やってんだ、騒いでんじゃねーよ!という意味を込めて、男2人に訊いてみる。 下手すれば俺だって何やってんだ、と思われるかもしれないけど、目の前のマンションに住んでいて、きちんと働いている身。最悪、何か言われても言い返せる自信があった。
3メートルの距離に近付くと、男2人の顔もある程度はっきり見えてくる。 見た目かなりチャラそうで、本当にこの場所には似合わない連中。俺の声にビクッと肩を揺らし、こちらに振り向いた瞬間、そう思った。
「! 、やべぇっ!ちょっ…、おい!行くぞ!早く!!」
「え?」
けど、質問に答えることもなく、注意をする間も無く、あっという間に怪しい男2人は暗闇の中に走り消えてしまう。 何がなんだか分からないままその場にフリーズしていると、1分後にようやく逃げられたんだと気付いた。
――― 残されたのは俺と、置き去りにされた大きな箱だけだ。
おいおいおいおい…。ふざけんなよ、お前ら!なんだよ、やべぇ!って。おかしいだろーが! つーか逃げるんだったら、ちゃんと持ってけよ、この箱!意味ねーじゃん。何、普通に置いてってんだよ。せめて話聞けっつーの!
「ああ〜…!3カ月も一生懸命仕事やって、それがせっかく終えたってのに、その締め括りがこれかよ…」
そう愚痴りながらも、結局この箱をどうにかしようと考えている自分は、本当に真面目すぎると思う。長所にも短所にも成り得る、紙一重の才能だ。ある意味で。
この大きさだったら、きっと粗大ゴミ。だとすれば連絡しなくちゃいけないし、もしかしたら金を取られる可能性もある。 その場合は事情を説明さえすれば、マンションの管理人がなんとかしてくれるんだろうか。でも、俺が捨てたんじゃないと説明出来るものが何も無い現状。どうなるか分からないとしても、一応中身は確認しとくべきだと思った。
「はぁ…。家は目の前だっつーのに、なんでこんな深夜にゴミ捨て場でガムテープ剥がしてんだよ、俺…」
箱を開けるために、しぶしぶガムテープを剥がしにかかる。どうせ、中身は地上デジタル化に向けて買い直したテレビとか、そういうやつだろ。それか子供の遊具か、時代遅れなラジカセな。 どっちにしろ俺には100パーセント関係ないのに、自己嫌悪に陥るぐらいお人好しで、自分でも嫌になる…。というか、これじゃあ俺の方が不審者じゃねーか…。
「あ゛ーっ!どんだけ厳重にしてんだよ!ガムテープ貼りすぎだろ、絶対!…っ、くっそ!!」
なかなか剥がし終えることが出来ないガムテープ。イライラが頂点に達し、遂には無理矢理に箱を開けた。でも、その箱を開けた瞬間に再び時間は止まり、体はフリーズする。 そして、気付いた。
「え……」
よく考えれば、あんなヤツらがまともなゴミを捨てるワケが無い、ってことに。
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