星屑へ還してあげる
!初めらへんは悲恋注意!羊×月子←哉太←ヒロインみたいな羊と月子が付き合った、と聞いたのは、羊がフランスに帰ると聞いたすぐ後の話だった。
一緒に肩をよせて、遠く離れてもずっと一緒だよ、といつものようなキザな台詞を語る羊と、それに対して珍しく顔を赤らめる月子。
いつもとは違う二人に、これは嘘ではないんだ、と改めて実感する。
そんな報告を俺、錫也とななしの俺たち幼なじみ三人に伝える二人は、とても幸せそうだった。
「……そっか、よかったな」
だから、俺はおめでとうと祝った。
二人の幸せを願いたかったから。二人に幸せになって欲しいと思ったから。
……例え、俺の思いは届かなくても。
「哉太……」
切なそうにこちらを見るななしに、俺は気づくよしもなかった。
*
その日の夕方。
俺は人目に付かないように、しゃがみ込んでいた。
二人の幸せを願いたいのに、黒い感情がそれを邪魔する。
泣きたいのに泣けなくて、叫びたいのに叫べなくて、とにかくもどかしい。
もういっそ、泡になって、きえてしまいたい
「…………哉太」
突然後ろから聞こえた声にびくりと体が反応する。
間違えるはずもない、ななしの声だ。
「………なんだよ」
その言葉に精一杯の拒絶を示した。
憎しみと嫉妬に溺れた醜い自分。
今のこんな姿を、こいつには見られたくないから、ななしに背を向ける。
けど、ななしは俺の意志に反して俺に近寄った。
…やめろ、俺に近寄るな。
ななしの手が肩に置かれる。びくりと自分の肩が跳ねたのが自分にもわかった。
とっさにその手を払いのける。
「哉太……」
「来るな!」
「!」
「こんな情けない姿…っ、見せられねえよ!」
自分のこぼれ出す感情を吐露して#1#にぶつける。
わかっている、所詮八つ当たりってやつだ。
情けなさに唇を噛み締める。
けれど、また背中をさすり始めたななしに俺は思わず我に返る。
暖かい手のひら。
外に出て冷え切った体に、ぬくもりを分け与えられているような感覚がした。
自分の勝手な解釈かもしれないけれど。
泣いてもいいんだよ、と言われているような気がした。
涙腺か触発される。
嗚呼。
結局、俺はこいつにまた情けない姿を見せることになるのか。
また俯いた俺の後ろで、ななしが女神のように微笑んでいるような気がした。
タイトル*空想アリア
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