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『彼は私の大の親友です』
「だから、ここは過去形じゃなくて進行形だって」
「あ゛?なんでだよ?」
何なんだよ、この宇宙語は!?と俺は叫んだ。
今、俺とイツキがいるのはイツキの家。
中学に入って初めての定期テストがあって、二人で英語のテスト勉強を行っている。
……けど!
「イツキのスパルタっぷりは尋常じゃねーぞ…」
「なんか言った?スーくん」
「イエナンデモ」
イツキがこちらを向いて首を傾げたので俺は顔を背ける。
本人は自分のスパルタっぷりに関しては無意識なんだよな……本人は善意でやっているから余計にたちが悪い。
「じゃあ次の問題行くよ……あ、英作文みたいだね」
「ちっ、作文かよ」
「舌打ちしないの」
カラン、と目の前のコップの氷が揺れる。
ああ、もうそんなに時間が経ったのか。
目の前でにっこりと笑うイツキをちらりと見る。
今日はどうやら、長い1日になりそうだな……
*
「あー、やっと終わったー!」
「うん、お疲れスーくん」
あれから大分時間が経って、大きく伸びた俺にイツキが労う。あー、一生分の体力使ったぜー。
「あ、そうだイツキ」
「何?スーくん」
「お礼と言っちゃあれなんだけど、これやるよ」
「?これ……ピアス?」
そうしてイツキに渡したのは、シルバーの青い装飾のついたピアス。
イツキはピアスを見てから、困惑したようにこちらを見る。
「あ?なんだよ」
「僕……ピアスの穴開けてないけど」
「開ければいいじゃねーか」
「そんないきなり……」
はあ、とイツキがため息をつく。んだよ、悪いかよ!
「俺もそれの赤を付けてるんだぜ?おそろいじゃねーか」
「……そういえば、いつピアスの穴開けたの……」
昨日、と即答したらイツキが苦笑していきなりだなあと言いながらピアスを握りしめた。
そして、机の上にある小さい箱を取ると、大事そうにピアスをしまう。
「いつか、ピアスの穴開けたら必ずつけるね」
「………約束だぞ」
うん、と穏やかと微笑むイツキを見て、幸せだなあと柄になく思ったから恥ずかしくなって手元のノートを見る。
さっきやった英作文を見て、小さく笑った。
『He is a special friend of mine.(彼は私の大の親友です)』
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