机上に浮かんだ微笑

!名前変換がありません!




「あ、眞緒ちゃんだ!」

「……え?」


休み時間。
星詠み科の教室でぼーっと次の授業を待っていたら、ふいに私の名前を呼ぶ声がした。

明るいソプラノが聞こえた方向を見れば、小柄な女の子がお弁当箱を持ちながらこちらに向かってきていた。



「あ、光ちゃん!久しぶりー」

「うん、久しぶりのすけー」

「あはは、久しぶりのすけー」


光ちゃんの少し特徴のある口調を連呼したら、真似するな!って怒られた。
小柄だから……と言ったら失礼だけど、怒る姿がかなり可愛らしくて微笑みそうになった。

また更に怒られそうで必死にこらえたけど。


私の目の前の席を指してから座ったら?と言ったら、光ちゃんが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら座った。か、可愛い…!



「どうしたのいきなり?」

「いやそれがさー、しげみくんに追いかけられてて…」

「しげみ……ってああ」



しげみ、というのは神話科で弓道部の犬飼くんのことだ。いつも光ちゃんが犬飼くんのことをしげみしげみって言うから多分そうだ。なるほど、言われてみれば確かに芝生っぽい髪だもんな…げふんげふん。そんなこと言ってしまえば犬飼くんに怒られそうだから黙っていよう…

苦笑しながら目の前の光ちゃんを見れば、光ちゃんがお弁当を広げてから食べ始めた。


「…ところで光ちゃん、どうして追いかけられてるの?」

「なんか今日ね、あたしお弁当作り忘れちゃって、しげみくんの弁当を貰おうと思ってひっそり盗んだら追いかけられた」

「……いたずらは程々にね光ちゃん…」



広げられたお弁当箱は光ちゃんじゃなくて犬飼くんのだったのか…
光ちゃんはいただきまーす!と明るく言うと、ぱくぱくと食べ始めた。ああ、(犬飼くんの)昼食が…
自分のお弁当がなくて半泣きしてるであろう犬飼くんに心の中で合掌する。どんまい、光ちゃんを見つけた頃には君の昼食は光ちゃんのおなかの中だよ…


…ちょっと犬飼くんが哀れに思えたので、光ちゃんに提案してみる。


「じゃあ私、今から光ちゃんのお昼を作ってあげようか?」

「……え、いいの!?」

「うん、いいよ」


光ちゃんはやったーーーー!!と犬飼くんのお弁当を閉めながら嬉しそうに飛び跳ねる。可愛いなあ…小動物みたいだなあ……!!


「じゃあお昼休みのとき、食堂で落ち合わない??」

「うんうん、落ち合う!!」

「よし、じゃあそろそろ次の授業が始まるから……あ」

「見つけたぞ…おい光!!」

「げっ、見つかった」



光ちゃんの名を叫ぶ声がしたので教室のドアを見れば、犬飼くんが息も絶え絶えの状態で光ちゃんを睨みつけていた。
光ちゃんは軽やかに椅子から降りると犬飼くんがいるのと逆側のドアから走って出て行った。

じゃあまたお昼に、と光ちゃんの後姿に向かって呼びかけたら光ちゃんが笑いながら手を振ってくれた。



「ばいばい眞緒ちゃーーーん」

「おい光待てよ!!」


2年の廊下に忙しない足音が二つ響いた。その音に思わずくすりと笑いそうになった私がいたのは秘密である。



(その後、お昼の食堂で光ちゃんと、なぜか一緒に来た犬飼くんのふたりにお昼を振舞ったとさ、めでたしめでたし)





20120226
和さん大変遅くなってすみませんでした…!!
そして光ちゃんのキャラが違ったらすみませんん

タイトル/空想アリア





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