「初めまして!」

「は、はじめまして…」


突然すぎる出来事に、思わず固まってしまいました。

え、今……弓道部の稽古場の入り口付近で、確か月子ちゃんの差し入れに来ていた錫也の付き添いに来ていて………


目の前の男子を訝しげに見る。
ニコニコ笑う、茶髪の男子。
ちょっとふわふわした髪で、ちょっとした銀のアクセサリーらしきものが付いていた。


そのまま手元を見ながら、恐る恐る呟いた。



「あのー……いつまで手、握ってるんですか……」



15=こんにちは弓道部1



「白鳥いいい!」

「ひっ!」



すると、奥の方から怒声が響き、白鳥くんは思わず飛び上がった。もちろん私も。

ずかずかとこちらに向かった声の主は、白鳥くんの首根っこを掴むとこちらから引き剥がした。



「気安く眞緒に触るな!不埒だ!」

「み、宮地……」

「その腐った頭を叩き直してやる!」


龍之介はそう叫ぶと白鳥くんは脱兎のごとく逃げ出した。
それを龍之介が追いかける。

うわあ、弓道部厳しい…



すると、今度はどうしたのー?と可愛らしい声が聞こえる。
こ、この声は!


「月子ちゃん!」

「あ、眞緒ちゃん!?それに錫也も!」


私は駆け寄ってきたマドンナに抱きついたら月子ちゃんも抱きしめる。

ああ…女子の特権万歳!
後ろで女子はいいなあ、という白鳥くんの呟きが聞こえるけど無視だ!


「おい、入り口で何の騒ぎだよ」

「ふふ、確かに騒がしいね」

「部長!犬飼くん!」



わあわあとこちらで騒いでいたら、どんどん人が集まってきた。
犬飼くんというらしい、緑髪の眼鏡の男の子はこちらを見るとお、と嬉しそうに声を上げた。


「我が校のマドンナと大和撫子、豪華な面子だな」

「大和撫子の呼び方はやめてよ……」

今の呼び方は絶対あの新聞からだ……13話参照のあの新聞を読んだんだなこいつ…!

少しだけ睨みつけると犬飼くんは私から目をそらした。こいつ!


先ほど逃げ出していた白鳥くんもいつの間にか戻ってきていた。素早い…!
二人はにやりと笑うと、こちらに向かって嬉しそうに笑った。

「俺は神話科一年の犬飼隆文だ、よろしくな」

「そして俺は、星座科の白鳥弥彦!よろしくね樋口さん!」



白鳥くんはそういうともう一度手を握ろうとした…ら、今度は錫也が庇うようにして私を白鳥くんから引き離してくれた。た、助かった…
ふう、と一息ついたら、ふふ、と微笑むのに気づいたので、その方向を見る。

……確か、この人は月子ちゃんに部長、と呼ばれていた人だ。
水色の髪が爽やかだなあ…


「樋口さん、だよね」

「!なんで名前……」

「初めまして、だね。僕は弓道部部長の金久保誉です。一樹から君の話をよく聞いているよ」


部長さんは手を差し出すと優しい笑顔を浮かべた。
うわああ、なんだか紳士だこの人…!振る舞いとかが何だかジェントルマン……!

それに対してどう対応していいかわからなかった私は、恐る恐る手を握り返した。
金久保先輩の手はぽかぽかと暖かかった。


「よ、よろしくお願いします……」

「ふふ、よろしくね」



落ち着いた笑顔で対応する金久保先輩。
大人だなあ、と感心する。

一つしか違わないのに、この貫禄の違いは何だろう…


でも、その表情から絶えない、ぽかぽか暖かい笑顔。



優しい笑顔ですね、と素直な感想を述べたら金久保先輩は一瞬戸惑った顔をしてから、すぐに照れたようにふわりと笑っいながらありがとう、と言った。





(あーっ!!部長ずるい!)
(ふふ、ごめんね?)
((金久保先輩、心なしか嬉しそうだな…))
(?)



(20110806)







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