「そしたらさあ、眞緒のやつ、料理部を創設したいって」

「くひひ、チャレンジャーだなあ、その子」


眞緒が料理部を立ち上げてかれこれ1ヶ月くらい経ったある日。


俺は、友人にその時の出来事を話していた。

あまりにも破天荒すぎる眞緒の行動。
その話は、目の前にいる奇抜な格好をした友人の興味をひくには充分過ぎる内容だった。


そいつはくひひ、とまた特徴的な笑い声をあげると、ゴーグルをくいっ、と上げた。

にやりと、奴は笑っていた。



「俺も、会ってみたいなあ、一樹の従兄弟ちゃんに」


「………そうだな。今度生徒会室に連れてくるよ」


多分俺も、相当にやついてると思う。



13=赤毛の変態先輩さん




「………で、一樹兄、要件って何?」

「まあまあ、生徒会室に行けば分かるって!」

「……………」



全ての時間割が終わった放課後。
教室を出ようとした私は、ドアの前で立ちふさがっていた一樹兄によって生徒会室に強制連行させられていた。


……まあ、部活もないし、暇だったからいいんだけど……


目の前でニヤニヤと笑う一樹兄を見て、私は顔を曇らせた。



……少し、いやかなり、いやな予感がする。



「さ、入った入った!」

「わかったって…」


生徒会室の前で諦めてゆっくりと扉を開ける。



ぱしゃり。

「っ!?」


すると、眩い光とフラッシュ音がして思わず目を閉じた。
ゆっくりと目を開けたら、目の前にカメラがあって思わず絶句した。


え、なに……か、カメラ?



「くひひ、もっと笑わないとせっかくの美人が台無しだよー?」

「……………へ」

「それにしても、なる程、この子が噂の一樹の従兄弟ちゃんかー」

「え、あの…」



いやいやいやいや、この方どなたですか?

長い赤髪に三つ編み。
それに眼鏡があるべきなのにゴーグルを着けていた。

え、ゴーグルって水泳用だよね、もしかして度が入ってるゴーグルなの!?



「くひひ、そんなゴーグルないよ?」

「!!!(な、なんで心を…!)」

「思いっきり顔に出てたぞ、ゴーグルガン見してたし」



うそ、本当に…?
思わず顔を両手で触ったら、また写真をぱしゃりと撮られた。

と、いうか……



「なんで私写真撮られてるの……?」

「新聞に載せるためだよー」

「し、新聞!?」


あ、頭がついて行かない…!
混乱していたのを察していたのか、一樹兄が目の前の赤髪先輩を指差した。



「こいつは、桜士郎つって、新聞部の部長なんだ」

「ええ!?」

「初めまして、従兄弟ちゃん」

赤髪先輩、もとい桜士郎先輩は軽くお辞儀をすると再びカメラを構える。

こ、これ以上写真はやめてください…



「一樹ぃ、見出しはどうしよっか?やっぱり『黒髪美人な新設料理部部長!』とか?」

「黒髪美人なら、大和撫子の方がいいんじゃねえの?」

「くひひ、それ採用ー」

「……………あの…」



見出しについて話し合っている二人に声をかけてみると、桜士郎先輩が「なぁに、撫子ちゃん?」と聞いてきた。

………というか、呼び方が従兄弟ちゃんから撫子ちゃんに変わってる…!?

一緒に振り返ってきた一樹と一緒に、私はずっと疑問に思っていたことを口にしてみる。




「………私に拒否権は?」

「「ない!/ないよー?」」



やっぱりね……!



(はい、じゃあ撫子ちゃんインタビューするよー)
(分かりましたよ!なんでも答えますよっ、けっ!)
((不機嫌だなあ……))



(20110630)







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