to exsist is to be perceived | ナノ



4回目の遭遇を期待し学校の帰りにサークルの先輩と歩いていた時、花屋の前を通り掛かっても三成くんの姿は無かった。折角格好良いひとがいるんだと自慢したかったのに彼は同じ場所にはおらず代わりにそこには知らないコートを腕に掛けた年配の男性が花束を片手に誰かを待っているようだった。

「今日はなんか用事でもあるのかな?」

「どうした?」

辺りをキョロキョロと見回しての彼らしき姿を確認することは出来なかった。ここ最近毎日彼の姿を見ていたせいでなんだかいつもここにいるような錯覚をしてしまうが、毎日いるなんて事は到底有り得ない。これまで偶然が重なり過ぎていたのかもしれないし、その偶然が終わってこれからはもう二度と会えないのかもしれない。彼の連絡先を知っているわけでも彼の素性について分かる事があるわけではないあたしがまた彼に会える確率なんて低い。考えればそれは至極必然的で当たり前な事だ。そんな事は分かっているのに、胸の奥がずきんと痛んだ気がした。

「あ、徳川先輩なんでもないです。ちょっと知り合いがいないだけで」

「そうか、じゃあワシはここで」

「どこか行くんですか?」

「今日は友の見舞いに行くんだ」

「あ、お大事にとお伝え下さい」

徳川先輩とはもう2年程の付き合いで交際しているわけではないが地方から入学してきたあたしに本当によくしてくれている。気さくなひとで誰でも分け隔てなく接する先輩は女の子に人気がある。先輩と付き合いたいかと言われたら微妙だが確かに、素敵なひとだとは思う。

丁度花屋の前で立ち止まった先輩はあたしが挙動不審に三成くんを探している間に店員に頼み綺麗な花束を作ってもらったようだ。その花束を片手に空いている方の手を胸の前まで上げ手を振るのが目に入ったのであたしも一礼した

「またサークルでな」

「はい!お疲れさまでした」

彼が小走りで去っていくのを確認した後帰ろうかと踵を返した時、いつもの場所にいつの間にか三成くんが立っていた。先程まではどこを探しても確かにいなかった筈なのに。いつ来たのだろうか。あたしが徳川先輩と話していたから気づかなかっただけなのかもしれない。だけど彼に会えて心がなんとなく、安堵感を覚えた。徳川先輩といるときには感じない、暖かな気持ちだ。

「名前」

「こんにちは、三成くん。いつ来たの?」

しかしあたしの問いに答える事無く三成くんはうつ向いた。どうしたのだろうか、今日はなんだか気分が優れないらしい。彼は顔を上げる事無くただそこに立っていた。何が彼をこうさせているのか分からなくて当惑してしまった。悲しんでいるのなら理由が知りたいし怒っていても理由が聞きたい。

「三成くん、どうした「…のか?」

「え?」

彼がうつ向いたまま何かを口にした。但し何を言っていたのか前半の部分が全く聞き取れなかったために再び聞き返す形になってしまったことを激しく後悔した

「また、お前は私を裏切るのか…?」

顔を上げた三成くんは、泣いていた