謳歌 | ナノ

「クラス?転校生?」
「そう!変だと思わない?」

柳蓮二は同じ学年だったらしい。初めて会った時に上靴の色でも見ておけば少しでも絞り込めたのだろうがそんな事するわけが無い私はとりあえず三年生からだと探し始めて即、柳蓮二の名前を探すことに成功した。クラスは3年F組。なんだ結構近いじゃないかと丁度終わったばかりのホームルームで開いたドアから柳を呼ぶと彼は少し、いやだいぶ驚いたような顔をしていた。実は驚いているのは私も同じで、何故柳蓮二の名前が浮かんだのかは分からないがなんとなく、彼に話せば何か分かるかもしれないと思った。

「で、どこがおかしいんだ」
「え?変じゃないの?」
「いや訪ねてきて突然クラスと転校生がおかしいと言われても、俺には情報が足りなすぎる」
「あれ?言ってなかったっけ?」

そんな風にとぼけると普通に困ったように目尻を下げられてしまった。以前柳蓮二の名前を聞いた後友達に柳蓮二を知っているかと聞いたらストーカー予備軍らしいという情報をくれた。遠くから見たらイケメンなのにストーカーだなんて犯罪の臭いがするというか犯罪が趣味とは一体どんな変態なんだと再び友人に尋ねたところイケメンだし変人の集まるテニス部だから仕方がないの一言で片付けられてしまった。イケメンならストーカーでもいいのか?それでいいのかと思う反面、情報収集能力はこの地域最優秀ということで頼ってくる生徒や先生もいるとかいないとか。とにかく凄い男子生徒らしい柳蓮二は言わんとする事を言い当てる超能力もあるというからこれだけ言えば分かってくれると思っていたのに。案外普通の男子生徒なのか柳蓮二。仕方無しに経緯を告げると今朝柳生がしていたようにわざとらしく顎に手を…置かずにただふむ、と顎を引くばかりだった。

「それは確かに、…少し調べてみる必要があるな」
「調べて分かるんだからやばいよね柳蓮二って」
「普通に呼べば良いだろう」
「長身細身で目の細い男子生徒?」
「なんだそれは」

私は柳蓮二を困らせる天才なのかもしれない。眉を下げ困ったように首をかしげる柳蓮二は私の隣の席の真田や柳生なんかよりずっと可愛いと思う。本人には絶対言わないけれど。とにかく私はこの不可思議な出来事の理由を知りたくて仕方がない。そうでなければ良く知りもしない男子生徒の元へ駆けたりはしないのだから。柳蓮二は再びA4のノートに何かを書き出しそれっきり教室へと戻っていってしまった。あのノートはいつも持参しているのだろうか。だとすればあれが噂のストーカー情報ノート。怖い怖いと思いながらもとりあえず調べてみてくれるみたいなので私は上機嫌にクラスに戻ることにした。クラスに戻った時何故か真田がうざいくらい私の方に机をくっつけて来たのが理解出来なくて一睨みしてやると、柄にも無く申し訳ないと謝られてしまったのでこれは絶対何かあると確信した
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