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美馬は不安そうな悠斗を、ベッド脇に座らせると、自分はキッチンに向かう。

「今なんか作るから。お前のより美味くねえけど。それ食べて薬飲んで寝て、さっさと熱下げろ」

基本的に子ども相手でなければ口調がキツい美馬は、ズバズバと真央にそう言い、キッチンですぐに食事を作った。雑炊と、自分の部屋にあったゼリーを真央の前に出す。

「猫舌なんだからゆっくり食えよ」
「あ、はい」

美馬が料理をしてくれたことにポカンとする真央。言われた通りによく冷ましてから食べれば、薄味の雑炊はとても美味しい。

「マオちゃん、おいしい?」
「うん、美味しいよー」
「ゆんのも作ってあるから、あとで俺と食べよ」
「やったー!」

真央の食事を羨ましそうに見ていた悠斗は、美馬の言葉に喜んだ。

きちんと食事をとり、薬を飲んだ真央は、すぐに眠りにおちる。その表情は先ほどよりもずっと楽そうだった。

「マオちゃん、げんきになるかなあ」
「なるよ」

リビングのソファで、美馬が悠斗を膝に乗せて、ゆったりと寛ぐ。ずっと真央を心配していた悠斗は美馬の言葉に笑顔で頷いた。


やがて目を開けた真央は、すっかり熱が下がっていた。悠斗が嬉しさのあまり抱き着き、真央も楽になった体を実感し、自然と笑顔になる。

「あの、タケルさん。ありがとうございました」
「おう。もう平気か」
「はい」

美馬がベッドの端に腰掛け、真央の頬に触れる。血色の良くなったそこを優しく撫でた。

「次なんかあったらすぐ呼んで。ゆんも心配するし」
「……はい」
「申し訳ないとか思わなくていいからな」
「うっ」

悠斗を膝に乗せた美馬にグサリと痛いところを刺され、真央は思わず息が詰まった。
美馬には、なんでもバレてしまう。

「早く本調子になれよ」

そう言って微笑む美馬に、真央はもう一度お礼を言った。
人に頼ることが苦手な真央だけど、美馬になら、頼りたいなと思った。



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