リクエスト@




(ゆめをみた。)
(悠斗の授業参観)
(桜様、柚樹様、お滝様リクエスト)


今日は、悠斗の小学校の授業参観の日である。
この日は、普段離れてくらす子どもたちの親も挙って集い、我が子の活躍を見ていく。自分の家、そしてライバル会社や親会社の将来を担う子どもたちを品定めするといった役割さえ秘める、大事な大事な日なのである。
しかし、大人のそんな都合も知らない子どもたちは、純粋に親との久々の再会を喜んでいた。

そんななかで、他の子ども以上に嬉しそうなのが、小学一年生の悠斗である。悠斗の親は海外にいるので、授業参観には来られない。それは非常に悲しいのだが、その代わりに悠斗の大好きな二人が来てくれるのである。


悠斗のクラスで授業が始まると、教室の後ろのドアからゾロゾロと親が入ってきた。子どもたちは落ち着きなくそわそわし、教師は一気に緊張する。悠斗も他の子と同じように、チラリと後ろを見た。

そして、すぐに見つける。

高級なスーツに身を包む大人の女性や男性が並ぶ中で、その二人だけが附属の高校の制服を着ている。やたらと容姿が整った彼らは周囲の視線をこれでもかと集めていたが、悠斗と目が合うとキレイに微笑んだ。
この二人こそが、美馬と真央である。

二人は以前から計画して、こうしてこの場に赴いたのだ。今日は高校の登校日だが事情をよく知る高校の教員が送り出してくれた。

「タケルさんタケルさん、ゆんがこっち見ました! 可愛い!」
「お前ら二人とも同じ。すっげー嬉しそうな顔してる」

悠斗を見つけて小さくはしゃぐ真央に、優しく笑いかける美馬。本当に、悠斗も真央も、幸せそうな顔をしているのだ。

「それでは次を……橘さん、読んでください」

そして、教員に悠斗が指された。悠斗は少し緊張した面持ちで椅子から立ち、国語の教科書を持つ。真央はまるで自分のことのようにハラハラしながら、それこそ震え出しそうな勢いでその様子を眺めていたのだが、さらにそんな真央を見ていた美馬は、思わず苦笑していた。

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