days to spin−白い糸と赤い糸− | ナノ
-scar‐ 6  [ 6/66 ]


シャワーで冷えた身体を温めたネロはタオルで頭を拭きながらバスルームの扉を開ける。リビングへと移動すると、こちらに気づいたリアラがキッチンの入口から顔を出した。


「あ、ネロ、ちょうどよかった。今ホットココア作ってるから、そこに座ってて」

「ああ。悪いな、色々としてもらって」

「ううん、これくらい何てことないよ。それに、ネロが風邪を引いたら大変だもの」


にっこりと笑って返して、リアラは顔を引っ込める。言われた通りにネロがソファに座ると、しばらくしてリアラがマグカップの乗ったトレーを持ってキッチンから出てきた。


「はい、どうぞ」

「ああ、サンキュ」

「どういたしまして」


お礼の言葉に笑って返すと、リアラはトレーを置きにキッチンへと向かう。すぐに戻ってくると、ネロの向かいのソファに腰を下ろした。


「雨、止まないね」

「ああ。雨足も強かったし、しばらくは止まないだろうな」


ココアを一口口にしてネロは言う。
じっと窓の外を見つめていたリアラはポツリと零す。


「…ダンテさん、大丈夫かな…」


昼頃に依頼に行ったダンテは、もうすぐ帰ってくる予定だ。だが、この雨だとどこかで足止めをくらっているかもしれない。


「まあ、依頼に行くのに傘なんて持っていかないからな、どこかで雨宿りでもしてるんじゃねえの?」

「そう、だね…」


ぎこちなく頷きつつも、リアラは窓から目を離すことはなかった。
いつもなら、心配はしてもここまで気にかかることはないだろう。だが、昨日ネロから聞いた話もあってか、心配でたまらなかった。
いてもたってもいられず、リアラはソファから立ち上がる。


「私、ダンテさんを迎えに行ってくる」

「迎えに行くって…おっさんのいる場所わかるのかよ?」

「気配を辿ればわかるよ。それに…なんだかすごく心配だから…」


そう言うと、リアラは玄関へ向かう。玄関の隅に置いていた小さな傘立てから傘を取り出すと、玄関の扉を開ける。


「ごめんネロ、留守番お願いね」


詫びるように言うと、ネロの返事も待たずにリアラは外へ出て行った。扉の向こうに消えた姿に、ネロはため息をつく。


「…仕方ないか…昨日、あんな話したばっかりだもんな…」


リアラなら心配はないだろうと、ネロは二人の帰りを待つことにした。

  
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -