-blue sky,blue sea- 7
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話しながら歩いていれば時間などあっという間で、二人は目的の水族館に着いていた。真新しい建物は太陽の光を受け、自分の存在を主張するかのように白く輝いている。
「近くで見ると大きいですね…」
「ここら辺じゃ一番大きい水族館らしいからな。とりあえず入るか」
「はい」
階段を上がり、入口である自動ドアを抜ける。中に入り、目の前に現れた物にリアラは感嘆の声を上げた。
「わぁ…!」
大きな窓のような三つのガラス枠の向こうは水槽らしく、優雅に泳ぐ魚の姿が見え隠れする。光が射し込んでいるのか揺らめく水の影が床に映り、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「ステンドグラスみたい…!きれい…!」
「すごいな」
ガラス枠のある空間は小さなホールのようになっており、階段で下りると間近で見られるようになっている。軽い足取りで階段を下りていくリアラに続き、ダンテもゆっくりとした足取りで階段を下りていく。ガラスの向こうを見つめる彼女の隣りに並び、チラリとダンテは隣りへ視線を向ける。
「………」
余程感動しているらしく、言葉にはなっていなかったが大きく見開かれた目が彼女の気持ちをありありと表していた。水槽の向こうから射し込む光が瑠璃色の目に当たってキラキラと瞬き、宝石のようだとダンテは思った。
「初っ端からそんなにはしゃいでると途中で疲れるぞ」
「!」
ぽす、と頭に何かが乗せられる。振り向くとダンテが悪戯っ子の笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「ま、俺らは半魔だからそんな簡単に疲れないけどな。ほら」
「?」
頭に乗せられていた何かが下ろされ、差し出される。反射的に、リアラはそれを受け取る。
「パンフレット…?」
「入口の近くに置いてあった。それに館内の地図が載ってるから、行きたいところを選んでくれ。俺はそういうのを見ながら動くのはあまり性に合わなくてな」
ああ、なるほど、と納得したリアラは頷き、パンフレットを開く。建物の見た目通り中は広く、いろいろと見所があるようだ。どこに行こうか悩んでいたリアラはある一点に目を留めた。
(水中トンネル…)
水槽の中に通路があるらしく、まるで水中にいるかのような体験ができるらしい。じっと写真を見つめていたリアラの様子に気づいたのか、ダンテが顔を寄せてきた。
「お、何か気になるところでもあったか?」
「あ…」
「水中トンネルか。いいな、行ってみるか。どう行けばいい?」
「えっと…こっちから行った方が近いです」
「わかった、案内してくれるか?」
「はい」
こくりと頷き、パンフレットで道順を確認すると、ダンテの手を掴み、こっちです、とリアラは歩き出す。歩いている時は手を繋ぐという提案を無意識ながらも守っている彼女に笑みを零し、引かれるままにダンテも後に続いた。