-blue sky,blue sea- 6
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電車に揺られること約三十分、二人は目的の水族館がある街に着いた。駅の改札を通り、外に出ると、白い防波堤の向こうに広がる海が視界に入る。
「わぁ…!」
「海沿いとは聞いてたが、こんなに間近にあるんだな」
感心するダンテから離れ、走ったリアラは防波堤に手をついて視界一杯に広がる海を眺める。
「きれい…!ダンテさん見てください、すごいきれいですよ!」
こちらを振り返った彼女は珍しく興奮しているのか、目が子供のようにキラキラと輝いている。これだけ喜んでくれるなら連れてきた甲斐があったな、そう思いながら、ダンテはリアラの隣りに並ぶ。
「きれいだな」
「フォルトゥナの海とはまた違ったきれいさですよね」
隣りで笑顔を浮かべる彼女の頭を撫で、ダンテは遠くを見渡す。
「さて、と。水族館は…」
「…あ、ダンテさん、あれじゃないですか?」
ダンテと同じように遠くを見ていたリアラがある方角を指差す。つられるようにダンテがそちらを見ると、海岸を挟んだ向こう側に大きな白い建物が見えた。ニュースで見た建物と同じだ。
「ああ、あれだな。間違いない」
「道沿いに行けば行けそうですね。行きましょうか」
ああ、とダンテが頷くのを確認して、リアラは濃淡様々な茶色いレンガでできた道を歩き出す。
「リアラ」
ふいに名前を呼ばれ、リアラが後ろを振り返ると、ダンテは自然な動作で左手を差し出す。
「デートだからな、歩いてる時は手繋いで行くぞ」
「えっ!?」
思わぬ言葉に、リアラは動きを止めてしまう。
「…ず、ずっと、ですか…?」
「ああ」
戸惑いと恥ずかしさに顔を赤らめるリアラに、満面の笑みで返すダンテ。恥ずかしいけれど、だからといって無下にするのもよくない。そう思ったリアラは差し出された手にゆっくりと自分の手を重ねる。
「よろしくお願い、します…」
「ああ。じゃあ、行くか」
こくりと頷く彼女の一回りもニ周りも小さな手を包み込み、ダンテはゆっくりと歩き始めた。