-scar‐ 4
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「もう二週間くらい経つのかな…。私が母様の仇である悪魔を倒した時に怪我をして、生死の境を彷徨ったでしょう?」
「…ああ」
あの時のことはよく覚えている。後にダンテから電話ごしに聞いたから実際に見たわけではないが、母の仇である悪魔と戦った際に負った怪我でリアラが生死の境を彷徨ったことを聞いた時、一瞬、息が止まった。生きていたから安堵できたものの、もし死んでいたらこうやって思い出すのも苦しかっただろう。
「仇の悪魔を倒して、ダンテさんが私の身体を支えてくれた時…その時、雨が降ってたの。降り始めだったから、それ程強くはなかったけどね」
「……」
「後からレディに聞いたんだけど、ダンテさんが私を抱えて事務所に戻ってきた時、ダンテさんも私も全身びしょ濡れだったらしいわ。帰ってる途中で雨足が強くなったんでしょうね」
一度言葉を切ると、リアラは辛そうに目を伏せる。
「…きっと、ダンテさんは雨が降るごとにそのことを思い出してるんだと思う。もしそうなら、私が原因だから…」
「…そうか。わかった」
頷き、ソファから立ち上がるとリアラに近寄り、ネロは彼女の頭を優しく撫でる。
「…あんまり思い詰めんなよ?きっと、まだそんなに日が経ってないから思い出しちまうだけだろうし。…時間が経てば、いつも通りに戻るだろうしさ」
「…うん」
ネロの言葉に、リアラは小さく頷いた。