-cold and feel lonely‐ 4
[ 46/66 ]
「…ん…」
額に感じる冷たさに、リアラは目を開ける。背中に感じる柔らかさにベッドに寝ていると気づき、いつの間にここに来たんだろう…と考えていると、耳に馴染んだ声が響く。
「気がついたか?」
声がした方に顔を向けると、こちらを見つめるアイスブルーの目と視線が絡む。ほっと安堵するように細められた瞳に、リアラは口を開く。
「ダンテ、さん…」
「ああ」
確かめるような言葉に頷き、す、と手が伸ばされる。安心させるように優しく頭を撫でてくれる手の心地良さにリアラは目を細める。
「しっかし驚いたぞ、依頼から帰ってきたらお前が倒れてたんだからな。玄関を開けるなり、ケルベロスがすごい勢いで来たから何かと思ったら…」
「そう、なんですか。ごめんなさい」
「謝ることじゃないだろ」
苦笑しながらも頭を撫でてくれる彼に申し訳なくて、リアラは目を伏せ、布団を引き寄せる。
「その、早く言おうとは思っていたんですけど…」
「俺に心配をかけると思って言えなかったか?」
「…」
こちらの心を見透かしたかのように返された言葉に、リアラはこくりと頷く。
「毎年、この時期になると必ず風邪を引くんです。風邪って言っても、咳が出るわけではなくて、熱だけなんですけど…」
「フォルトゥナにいた時もか?」
「子供の頃はありましたけど、今は…。フォルトゥナを出て旅を始めた頃から、こうなって…。フォルトゥナに戻った時に父様に相談したこともあるんですけど、原因は分からなくて…」
「そうか…治るのにどのくらいかかるんだ?」
「一週間くらい、でしょうか…。自分の治癒力に任せるしか、ないので…」
「…そうか。とりあえず、今日は眠っておけ。喋るのも辛そうだからな」
「…ん。ありがとう、ございます…」
頭を撫でる手が温かく、徐々に眠気がやってくる。うつらうつらと船を漕ぎながら、リアラは続ける。
「あの、ご飯…冷めちゃってると思いますけど、温めて、食べてもらえれば…」
「ああ、ちゃんと食べるよ」
「私の分も、食べちゃって構いませんから…」
「ああ、もらっておく。だから、心配せずに寝ておけ」
「…ん。おやすみ、なさい…」
「ああ、おやすみ」
瞼を閉じ、ようやく眠りについた恋人の頭を撫でながら、これからどうしようかとダンテは考えを巡らせるのだった。