-cold and feel lonely‐ 3
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「これでよし…っと。まずはサラダを作っちゃおうかな」
食材を仕舞うと、リアラは棚からまな板と包丁を取り出す。テーブルに置いていたレタスを手にすると必要な分を手でちぎり、水に晒す。余分な水分を拭き取ってボウルに並べ、次はトマトを切ろうと後ろを振り返った時、ふいに視界が揺らいだ。
(あれ…?)
突然のことに思わずテーブルに手をつき、リアラは動きを止める。普段ならない、けれど何度も経験しているこれにリアラは嫌な予感がした。
(まずい、かも…でも、お昼ご飯だけは作っちゃわなきゃ…)
本当ならすぐにでもベッドに入って休むべきなのだろう。けれど今は料理中だ、途中で止められない。もう少ししたらダンテが帰ってくるだろう、お腹を空かせて帰ってくるであろう彼のためにお昼ご飯は作っておかなければ。
(早く、作らなきゃ…)
ゆっくりと深呼吸をしてめまいが治ったのを確認すると、リアラはテーブルから手を離す。
その後、手早く料理を作っていったものの症状は悪化していき、熱まで出始めた。ようやく昼食ができた頃には熱で頭がぼーっとしており、上手く考えがまとまらなくなってきていた。
(身体…熱い…)
できた料理をぼんやりと眺めながら、リアラは思う。後はできた料理を運ぶだけなのだが身体が重く、動くのが億劫にさえ感じる。ふう、と息を吐き出し、もう一息、と気力を奮い立たせる。
(後は運ぶだけ…)
そう自分に言い聞かせてテーブルから手を離そうとしたその時。
(あれ…?)
ぐらり、と視界が揺れる。それがバランスを崩したからだと気づいた時にはリアラの身体は床に倒れていた。
(力、入らない…)
熱によるだるさが全身を襲い、指を動かすことさえできない。朦朧とする意識の中でこちらに駆け寄るケルベロスが自分を呼ぶ声を聞きながら、リアラは目を閉じた。