-young lady and guard‐ 20
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「あ、あの、ダンテさん…」
屋敷を出たところで、リアラは戸惑いながら口を開く。その声に冷静さを取り戻したのか、ダンテは足を止め、リアラの腕を離す。
「悪い…腕、痛くないか?」
「大丈夫です、気にしないでください」
労るように自分の腕を撫でるダンテに、リアラは微笑みかける。バツが悪そうに、ダンテは続ける。
「驚かせて悪かった…お前を迎えに行ったら、たまたまあの話を聞いてな、居ても立っても居られなくなって…こうなるなら一人で行かせるべきじゃなかったな、すまない」
「謝らないでください、ダンテさんは私を信頼して一人で行かせてくれたんでしょう?それに、あんなの誰にも予想できませんから。助けてくれて、ありがとうございます」
「リアラ…」
ダンテの手にそっと両手を重ね、にこ、とリアラはダンテに笑いかける。
「そんな暗い顔をしないでください、ダンテさんは笑ってるのが一番ですよ。もう終わったことですし、ね?」
「…そうだな」
ようやく笑みを浮かべたダンテに、リアラは笑みを深める。
ダンテはそっとリアラの手を取ると手の甲に口づける。驚くリアラに楽しそうな笑みを浮かべ、ダンテは言う。
「さて、依頼も終わったし、隣町にいるロイに報告しに行くか。それが終わったら観光がてらゆっくり帰ろうぜ。せっかく遠くまで来たんだ、ちょっとした旅行気分を楽しむのもいいだろ」
「…はい」
くすりと笑い、リアラは華やかな笑みを浮かべる。
手を繋いだまま、二人はゆっくりと歩き始めた。
***
2015.11.5