-young lady and guard‐ 19
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「本当にありがとうございます、助かりました。いや、お二人に頼んでよかった」
「ありがとうございます」
翌朝、帰り支度を済ませ、リアラは依頼主に依頼完了の報告をしていた。報告なら一人でも大丈夫だということで、ダンテはゲストハウスにいる。後程こちらにやってくる予定だ。
依頼主はニコニコと満面の笑みを浮かべ、話しかけてくる。
「それにしても本当にお強いですな、女性だからと馬鹿にしてはいけない。どうですか、うちの専属のデビルハンターとして働きませんか?給料は弾みますよ」
「いえ、私はこちらの方が性に合っていますので…」
「それ程お強いのにもったいない、貴女はもっと評価されるべきですよ。住む場所も保証します、何、普段は私の親戚として過ごして頂ければ問題ない、貴女は美しいから誰も違和感など感じないでしょう」
捲したてるように話しながら、依頼主は立ち上がり、リアラに歩み寄るとリアラの両手を掴む。笑顔を浮かべながらも下心が見え見えの世辞を並べたてる彼に、嫌悪感が湧き、リアラが手を払おうとした、その時。
ガウンッ!
「ひいっ!」
「…その手を離しな」
目の前を銃弾が掠め、壁に突き刺さる。悲鳴を上げる依頼主に、いつの間に来ていたのか、ダンテが扉の前でエボニーを構えていた。
目に鋭い光を宿したまま、二人の前まで来ると、ダンテはリアラの腕を掴み、その身体を自分の方へと引き寄せる。
「最初は女のデビルハンターは信用できないって断っておいて、次は下心丸見えの勧誘か?ふざけるな。こいつは俺のものだ、俺のものに手を出そうってんならどうなるか…わからせてやろうか?」
「ひっ…!」
銃口を突きつけられ、依頼主は立ち竦む。
「痛い目に会いたくなかったら、さっさと報酬を出しな」
「はっ、はい…っ!」
依頼主は執事を呼び、急いで報酬を用意させる。執事の持ってきた報酬を掴み取り、リアラの手を掴んだまま、ダンテは部屋を後にしたのだった。