days to spin−白い糸と赤い糸− | ナノ
-young lady and guard‐ 14  [ 36/66 ]


ふと足を止め、ダンテは空を見上げる。


(ひまだな…)


パーティーの真っ最中である依頼人の屋敷に護衛は入ることができないため、ひまつぶしに庭を散策しているが、毎日行き来している場所だ、特に見るところもない。パーティーが終わるまでゲストハウスにいるという手もあるが、そうする気は起きなかった。


(あいつががんばってるのに、自分だけ休むのもな…)


派手に着飾り、世辞や金の話ばかり飛び交う場所で、仕事のために金持ち達に混ざり、パーティーに参加している彼女を思うと休む気になれない。それに、未だに人と接するのが苦手な彼女が大勢の人に話しかけられて苦痛を感じていないだろうか、と心配でならない。


(パーティーが終わる頃に迎えに行ってやらないとな)


それまで庭をもう一回りしてくるか、そうダンテが考えた時だった。


「こんばんは」


近くで聞こえた声に、ダンテは顔を上げる。ふわふわの金髪に金色の目をした若い女性がこちらに向かって微笑みかけていた。
黒いドレスの裾を揺らしながら、女性はダンテに歩み寄る。


「お散歩中かしら?」

「ええ。見たところ、パーティーに参加されているようですが…戻らなくてよろしいのですか?」

「ちょっと抜け出してきたの。みんな知り合いだし、いつも同じ話をするから退屈で…」


気晴らしに外を散歩していたらあなたを見つけてね、と女性は言う。


「ちょうどよかったわ、気晴らしで外に出たとはいえ、一人で散歩するのは寂しかったの。少し散歩に付き合ってもらえないかしら?」

「ええ、喜んで」

「嬉しい、ありがとう。じゃあ、行きましょう」


ダンテの手を掴み、女性は歩き出す。ダンテを見上げる金色の目が一瞬、妖しく輝いた。

  
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