-young lady and guard‐ 13
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夜の帳が下り、辺りを静寂が包み込んだ頃。屋敷では別荘地の富豪達を招き、賑やかなパーティーが催されていた。
「すてきなドレスですね、よくお似合いです」
「ありがとうございます」
華やかな衣装に身を包み、酒や食事を口にしながら各々話に興じる中、リアラも深みのある青いドレスに身を包み、招待客との話に応じていた。
「今度、私の屋敷でもパーティーをするんです。ぜひいらしてください」
「ありがとうございます、ぜひ」
お辞儀をして去っていく男性を見送り、リアラは小さくため息をつく。
(やっぱり、こういうのは慣れないな…)
豪奢なドレスに身を包み、パーティーに参加する楽しみがいまいちよくわからない。住む世界が違うからだろうか。そんなことを考え込んでいると、声をかけられた。
「リアラさん」
呼ばれて顔を上げると、以前、食事会の前に自分に声をかけてきた青年がこちらに向かって歩いてきていた。リアラの前まで来ると、青年は笑顔で話かけてくる。
「リアラさんも参加してたんですね」
「ええ、叔父が主催のパーティーですから…」
「そうですか。そのドレス、よく似合ってますね。すてきです」
「ありがとうございます」
何度も聞いたお世辞に内心ため息をつきつつ、リアラは笑顔でお礼を言う。それをいい方向に捉えたのか、青年はリアラの横に回ると肩に手を添え、続ける。
「あっちにおいしいワインがあったんです、一緒に飲みませんか?」
「ありがとうございます、じゃあ、一杯だけ…」
頷き、リアラは青年とともに歩き出す。青年の話に相槌を打ちつつ、リアラはダンテのことを考えていた。
(ダンテさん、どうしてるかな…)
パーティーに護衛の者を入れるのは無粋ということで、ダンテはこの会場にいない。護衛の意味がないじゃないかと内心思う。外でも回って待っておくさ、と笑って言ったダンテの顔が思い起こされる。
(早くこんなパーティー終わらせて、ダンテさんのところに行きたい…)
これも仕事とはいえ、本来の目的は悪魔を退治することだ。今夜現れないとは限らないし、男性ばかりを狙う悪魔なら、ダンテが狙われる可能性もある。彼が心配でたまらない。
(ダンテさん…)
リアラはぎゅっ、と組んでいた手を強く握りしめた。