-young lady and guard‐ 11
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「お嬢様」
聞き慣れた声に、はっと顔を上げる。
「ダンテ」
「お話の邪魔をしてしまい、申し訳ございません。ウィリアム様がお呼びです、食事前にお嬢様にお話があるそうです」
まるで執事のような佇まいでうやうやしく頭を下げ、ダンテは要件を告げる。内心救われた気持ちで、リアラは頷く。
「わかったわ、ありがとう。すみません、叔父に呼ばれたのでこれで…」
「あ、はい…」
残念そうに頷く青年に背を向け、リアラは歩き出す。
青年との距離がだいぶ開いた頃、斜め後ろについていたダンテがコソリと耳打ちした。
「大丈夫か?」
「はい…ありがとうございます、ダンテさん。偶然とはいえ、とても助かりました」
「偶然じゃないぞ。呼ばれてる、なんて嘘だからな」
「…え」
それじゃあ、まさか。続けようとした言葉は、ダンテの指によって遮られる。
「ほら、急ぐぞ。主催者の親族が遅れるわけにはいかねえだろ」
「…はい」
至極楽しそうな笑みで歩みを促すダンテに感謝の笑顔を返し、リアラは屋敷へと急いだ。