days to spin−白い糸と赤い糸− | ナノ
-young lady and guard‐ 7  [ 29/66 ]


「…リアラ、あいつに俺がお前と付き合ってるって話したか?」

「え?いいえ、話したことはありませんけど…。事務所に住むことになった時、探してる人が見つかってその人の事務所に住むことになった、って手紙で知らせたくらいで…」

「ふーむ…」


顎に手をやり考える仕草をすると、ダンテは呟く。


「…たぶんあいつ、俺とお前が付き合ってるって気づいてるぞ」

「え!?本当ですか!?」

「ああ。最後に『後はお二人でごゆっくり』、って言ってただろ?あいつなりに気を遣ったんじゃないか?」

「そう、なのかな…あああ、どうしよう、恥ずかしい…」


たちまち顔を真っ赤に染め、両手を頬に添えたリアラに、かわいいことしてんなぁ、と緩みそうになる口元を抑えながら、ダンテはリアラの頭をポンポンと撫でる。


「まあ、いつかはバレることだったんだし、隠すこともないだろ。早めにバレてよかったんじゃないか?あからさまに聞くようなこともされなかったし」

「うぅ…それでも恥ずかしい…」

「俺は嬉しいけどな、リアラが盗られる心配がないし」

「…っ、ダンテさん!」

「ははっ、そう怒るなって」


店の中ゆえ小声で怒るリアラを宥め、それにしても、とダンテは続ける。


「女だからって仕事ができるか疑うとはな…なめられたもんだ、そんな簡単にできる仕事じゃねえってのに」

「仕方がないですよ、女性のデビルハンター自体少ないですし、悪魔が相手ですしね。多いですよ、そういう人」

「…いろいろと、言われたりしたのか?」

「まあ、文句を言われるのはしょっちゅうですよ。依頼を終わらせれば何も言わなくなりますけどね。たまに掌を返して急に優しくなったりする人もいましたけど」


そういうのは嫌いなので一蹴しましたけどね、と苦笑するリアラ。何か思うことがあったのか、ダンテは真剣な目でリアラを見つめると、口を開く。


「…何かあったらすぐに言うんだぞ。お前は一人で抱え込む癖があるからな」

「!…はい」


その言葉に少し驚いたリアラだが、自分を心配するゆえの優しさだとわかり、嬉しさにふわりと笑みを浮かべる。


「そろそろ帰りましょうか、依頼に行く準備もしないといけませんし」

「晩飯の買い出しもしていくか?」

「そうですね。今日の晩ご飯、ダンテさんは何が食べたいですか?」

「んー、特に思い浮かばないな。リアラに任せるよ」

「わかりました、じゃあ、買い物しながら決めますね」

「ああ」


喫茶店を後にし、二人は並んで帰り道を歩く。
ふいに、リアラがダンテの手を掴んだ。


「ん?どうした?」

「…何でもないです。ただ、こうしたくなって」


そう言って笑うリアラに、ダンテも柔らかな笑みを浮かべる。


「…そうか」


緩く彼女の手を握り返し、穏やかに流れる時間を感じながら、ダンテはゆっくりと歩みを進めた。

  
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