-young lady and guard‐ 5
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「えっと…この辺りのはずだけど…」
「あれじゃないか?」
「あ、本当だ」
二日後、ダンテとリアラは事務所近くの商店街に来ていた。待ち合わせ場所である喫茶店でロイと会うためだ。目的の店を見つけた二人は店内へと入る。
「えっと…」
「リアラ、こっちだ」
「あ、ロイ」
キョロキョロと辺りを見回していたリアラはこちらに向かって手を振るロイを見つけ、彼の座る席へと近づく。ダンテもその後ろに続く。
「待たせてごめん」
「気にするな、俺もさっき来たばっかりだ。で、そちらさんが事務所の主…ダンテ、でよかったかい?」
「ああ」
「そうか。じゃあ改めて自己紹介させてもらうよ、俺は情報屋のロイだ。今後ともよろしく」
明るく、けれどもきっちりと自己紹介すると、リアラに視線を移し、ロイは呟く。
「しっかし、お前が私服とは珍しいな。仕事の打ち合わせで私服なのは初めてじゃないか?」
「喫茶店であの服を着てくるわけにもいかないでしょう、目立っちゃうし。ロイこそ珍しいじゃない、打ち合わせの場所を喫茶店にするなんて」
「今回はお前だけじゃなくそちらさんと二人でやってもらう仕事だからな、バーに呼び出すのもどうかと思ってここにしたんだ」
「なるほどね。で、依頼の内容は?」
「自宅の敷地内に現れる悪魔を狩ってほしいんだと。ここからだいぶ離れたところなんだが、山の麓に金持ちの別荘が建ち並ぶところがあるんだ。知ってるか?」
「ああ、あそこか。森の中にド派手な別荘が並ぶ場違いな…」
「ダンテさん、知ってるんですか?」
「ああ、実際入ったことはないが、隣町での依頼終わりに近くを通ったことがある。しっかしあそこか、バイク使っても遠いぞ。電車でも使わねえと」
「じゃあ、まず移動に時間がかかりますね…。ちゃんと準備しないと」
「んー、おそらく移動だけじゃなく依頼にも時間がかかると思うぜ。依頼の悪魔は毎晩現れるってわけじゃねえらしいし」
「そうなの?じゃあ、夜に現れるってことしかわからないってこと?」
「いや、もう一つわかってることがある。その悪魔、男だけを狙うらしいぜ。狙われた男はみんなミイラみたいに干からびた姿で発見されてるんだと」
「男の人だけ?じゃあ、淫魔かな…サキュバスとか」
ロイの話を聞いていたリアラは、ふとあることに気づき、首を傾げる。