-scar‐ 1
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曇り空の下、パン、と銃声が響く。次いで響くのはギュオン、と機械の唸る音。
寂れた工場に湧く悪魔達を薙ぎ払うように、中心で二つの影が動く。
「チッ、キリがねぇな…!」
「なんだ坊や、もうギブアップか?」
「誰が!」
「ははっ、それだけ威勢があれば大丈夫だな!」
苛つきながら返された言葉に、ダンテは気にすることもなく笑う。
戦闘を始めて約三十分、もう百体程狩っているはずなのに、一向に悪魔の数は減らない。変わらない状況にネロはイライラしながら、ダンテは楽しそうに笑みを浮かべたまま向かってくる悪魔を倒していた。
「元凶の悪魔はどこにいるんだよ!いい加減出てこい!」
「そろそろ出てくる頃合いだとは思うがな」
のんびりとダンテが答えたその時、ゴオッ、と低い音と共に熱風が辺りに渦巻いた。次いで姿を現した悪魔に、ダンテは口笛を吹く。
「ミノタウロスか、大物が出たな」
「やっと元凶のお出ましかよ、待ちくたびれたぜ」
自分達より遥かに大きな悪魔を見上げると、ダンテはリベリオンを、ネロはレッドクイーンを構える。
「リアラが待ってるからな、さっさと終わらせて帰るぞ、坊や」
「言われなくとも!」
地を蹴り、大きく跳躍した二人は悪魔めがけて剣を振り下ろした。