-how to choose gift‐ 7
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風呂から上がり、寝る準備を整えたリアラは二階への階段を上がる。廊下を歩き、自分の部屋の前に着くと、扉を開けて中に入る。
「…はぁ」
ベッドの縁に腰掛けると、リアラは小さくため息をつく。
誰かが悪いわけではない。レディやトリッシュは自分のためを思ってわざわざああいうことをしてくれたのだろうし、ダンテはただ着てみてほしいとその思いであの服をプレゼントしてくれたのだろう。だから、悪いのは自分。好きな人の好意に答えられなくて、その上あの人に気を遣わせてしまった、自分。
(でも、あれはさすがに…)
ダンテにプレゼントされた、あのワンピースを思い出す。スカートの裾に二重にあしらわれたレースに、腰に巻かれたリボン。肩紐にも胸元にもレースがあしらわれていて、まさに女の子、といった感じだった。
その女の子らしさになぜか拒否感が出てしまって、どうしても着れなかった。スカートに抵抗があるわけではない、スカートなら出かける時に時々履いている。おそらく、レースやリボンといった『かわいい』ものに拒否感を示してしまったのだと思う。
(…私、そんなにレースとか嫌いだったかな…)
両足を抱え、顔を伏せながらリアラは思う。昔は、嫌いなどと思ったことはなかったような気がするが。
(鍛錬を初めてから、かな…)
10歳の頃から鍛錬を初めて、あの辺りからズボンばかり履いてあまりスカートを履かなくなったように思う。レースやリボンの付いた服も自然と着なくなったような。
(戦い始めてから全然着てなかったな…)
動きやすさを重視した服ばかりで、おしゃれなど考えたこともなくて。ただ、母の仇を討つことばかりを考えていた。それが、ここにやってきてから、少しずつ心に余裕ができて、服装にも目を向けるようになって。スカートやニットワンピースといった自分が気に入った物を着るようになって。
(ああ、だいぶ変わったんだなあ、私)
自分の変化を改めて知って、リアラは目を閉じる。こうしていい方へ変われたのも、全部あの人のおかげ。あの人のおかげで、自分は幸せでいられる。少し悪戯好きな、だけど優しい、大好きな人。
(明日、お詫びにダンテさんの好きなピザを作ろう。あと、ストロベリーサンデー…)
明日の予定を立てながらリアラが顔を上げた時、視界に見慣れないものが映った。