ちっちゃくなったでびるはんたー☆ 5

ひそひそ、髭と若が隅の方で会話をする。

「おい、しっかり演技しろよ」
「だってあのでけぇおっぱいが目の前にあんだぜ?
 あの状態で触らないのは男じゃねえ」

内容は聞こえなかったようだが、リアラがその行動に気がついた。

「ん?なんのお話してるの?」
「な、何でもないよ、お姉ちゃん達!!
 僕たちお腹空いたな〜って!…なあ?」
「う、うん!」
「どもってる……やっぱりあやしい」

どこまでもあやしがるディーヴァはともかく、リアラは目を丸くした。

「えっ!もうお腹空いたの?」

相変わらず燃費の悪い半魔達だ。
だが、朝が遅かったとはいえ今の時間は午後1時過ぎ。
お昼ごはんにしてもいいだろう。

「お昼ごはん、何が食べた「「ピザ!!」」……やっぱりそう来たね」
「ダンテだもん。言うと思ったよ」

聞き終える前に、ピザの一言。
小さくなってもピザが好きという嗜好は変わらぬようだ。

「でも、ピザだったら昨日の夜食べたし。
 却下だよね、リアラお姉ちゃん」
「そうだね。
 記憶のないこの子達には悪いけど、体はダンテさん達本人だもの。
 連続ピザはちょっと……」

このままではピザはなしになりそうだ。


「「ピザたべたいー!!」」

叫んだちびっこ2人。
髭はその場で跳び跳ね地団駄を踏み、若は床に転げ回ってジタバタした。

すごい演技力だ。
子どもになり切っている。

「どうしよっか…ピザにしてあげちゃう?」
「体のためにならないからだぁめ」
「そうだよね、じゃあオムライスなんてどうだろう」
「うん、いいと思う!」

リアラの案に賛同するディーヴァは、ちびっこ2人に向き直る。

「はいはーい、ちびっこ達。
 オムライスでも良いって子は手をあげてー!
 手をあげなかったらランチは抜きだけどね!!」

結局ピザはダメだということに変わりない。
むしろ手をあげなくては昼食が抜きになってしまう!
2人が手をあげるのは音速並みだった。



それからしばらくして、ふわとろほかほかのオムライスが用意された。
その上にケチャップで描かれた文字は『LOVE(はぁと)』の文字。
彼らから描いてくれるようにせがまれたのだ。
それと、あーんしてほしいという希望。

元の姿なら恥ずかしくてとてもできたものではないが、今の姿ならまあ…断ることもあるまい。
雛に餌付けしているのとあまり変わらない。

こうして、髭と若は非常に満足げな表情でオムライスを平らげた。

「ごちそうさま、リアラお姉ちゃん」
「美味かったぞ、ディーヴァ!」
髭は『お姉ちゃん』をつけて呼んだが、若はつい敬称を忘れて呼んでしまった。

「んん!?ダンテ、今呼び方…」

ギクリ。
固まる若と静かになる場。

髭は空気を変えるため、急いでプランAに移行した。

「えっと、リアラお姉ちゃん大好きー!!」

ちゅっ。
その言葉とともに、リアラの頬で小さなリップノイズが響く。
髭がほっぺチュウをしてきたのだ。

「ディーヴァお姉ちゃん、ありがとー!大好き!」

それを見た若も便乗してディーヴァの頬にキスを送る。

愛しい気持ちも感謝の気持ちも本物だが、今はごまかしの気持ちが大きかった。
リアラとディーヴァが赤くなって頬を押さえるのを見るに、上手くごまかされてくれたに違いない。

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